笠利大火 がれき撤去スタート

笠利大火 がれき撤去スタート

奄美市笠利町笠利の火災現場では3日、住民らによる作業が始まり多くの人がボランティアで参加した

200人以上参加 「結の心感じた」

 先月27日に奄美市笠利町笠利で19棟を焼いた火災から1週間がたった3日、現場となった笠利2区には住民やボランティアが駆け付け、焼けた家屋のがれき撤去作業を実施した。多くの人が参加した同作業について今里信弘区長は「地域間のつながりがあるため、広い範囲から来てもらえた」と語った。この作業は4日も行われる予定となっている。

 この日は午前9時に同地区の大笠利文化センターに集合。同区住民のほか、隣接する集落の住民、市職員、笠利中学校の生徒たち、近隣の駐在所員など幅広い業種から200人以上が参加。現場を5区域に分け、それぞれが作業にいそしんだ。

 地元の建設業者社員などは用意したトラックや重機を使用し、トタン板などの大きながれきを撤去し、大笠利港へ運搬。同時に参加者らは力を合わせ、各家庭の敷地内のこまかな食器片やガラス片、炭やゴミなどをまとめる作業を行った。

 近隣の笠利中学校女子バレー部と野球部の部員たちも作業を手伝うため現場を訪れた。同校1年で野球部の中村遥斗君(12)は「普段から見ていた景色が変わってしまって悲しい。地域の人にはいつもお世話になっているので、手伝うことで恩返しになれば」と小さながれきを拾いながら話した。同校は4日の作業にはできるだけ多くの生徒が参加するよう呼び掛けているという。

 同地区の泊典美さん(59)は近隣住民宅の撤去作業に助力。炭や焼けた紙などが風に吹かれ宙を舞う中、炭に埋もれた割れた陶器やガラスの破片を掘り起こした。泊さんは「多くのボランティアの人が一生懸命働いていることに感心。感謝ばかりだ」と話した。

 4日に同町で行われる奄美観光桜マラソンのために東京から奄美大島を訪れていた水野由紀子さん(60)はこれまでに何度も同地区を訪れており、知人を介して同作業を知ったという。「昔ながらの家やものが燃えてしまったのは残念だが、多くのボランティアが参加しているのを見て『結の心』を感じた。東京では考えられない」と水野さんは語った。