回収作業マニュアル策定へ

奄美市名瀬朝仁海岸に放置された漂着油の入ったゴミ袋

漂着範囲拡大、二次被害防止
奄美群島排出油等防除協

 県大島支庁は5日、同支庁に海上保安庁機動防除隊や市町村、関係機関などを参集し、奄美群島排出油等防除協議会を開いた。同協議会では1日以降に奄美大島や喜界島、徳之島の広い範囲で確認された漂着油に関する調査の結果報告、今後の方針などについて話し合いがあった。同支庁は「二次汚染防止のために準備が整うまではボランティアでの作業は待ってほしい」と呼び掛けている。

 自治体などが5日までに行った調査によると、これまで確認されていた範囲のほか、瀬戸内町加計呂麻島実久、請阿室、与路島でも漂着が確認された。また、喜界島では西側の海岸だけでなく、東側海岸でも広い範囲に漂着。2日の同会議では奄美市笠利町土盛までの広がりとされていた奄美大島東側沿岸でも同町土浜あたりまで確認されたという。

 一部の海岸ではボランティアとして一般人が除去作業をしていることも判明。奄美市名瀬の朝仁海岸では漂着油がビニール袋に入れられたまま放置されている。こういった現状に対し、同支庁は作業手順の確立を目的に、6日午前10時、同海岸に産業廃棄物用のコンテナ(3立方㍍)を漂着油回収ステーションとして設置するという。奄美大島内に漂着油の処理が可能な施設はなく、県本土に運搬し、処理する方針とした。

 海上保安庁機動防除隊隊員からは海岸の漂着油除去作業を行う注意点として、▽安全を第一にすべき▽作業範囲の優先順位を決める▽作業日時、場所、作業者氏名、作業前後の現場の写真などの記録をとる▽二次汚染防止のために手袋の着用とゴム長靴の上からカバーをしたものを履く▽分別を行う―などが説明された。また、「野次馬やボランティアの人が海岸に入ることで、油を踏んでしまうことがあり二次汚染につながる。むやみに現場に近づかないように周知する必要がある」とした。

 同支庁の島田公史建設課長は「回収上の目安となるパンフレットを現在、作成しているところ。行政の対応が始まるまではボランティアは自粛してほしい」と呼び掛けた。

 また、同支庁徳之島事務所と奄美海上保安部によると、5日に天城町や同保安部が調査を実施。4日、同事務所によって漂着が確認されていた徳之島町の金見崎と手々以外にも天城町の松原漁港、与名間、ムシロ瀬でも漂着があったという。同事務所は徳之島町、天城町、伊仙町などに住民への周知を呼び掛けるなどの対応を取っている。

 また同保安部は和泊町から同町国頭でも油状物の漂着があったという連絡を受けており、今後確認を行うとしている。