奄振審議会

奄振審議会

地域のコミュニティーが必要だと語る、秋元司国土交通副大臣。左奥は伊集院幼大和村村長

奄振法延長求める
世界自然遺産 屋久島との連携検討

 【東京】国土交通省は6日、中央合同庁舎第1号館(千代田区霞が関2―1―2)で「第108回奄美群島振興開発審議会」を開催した。審議会には国交省の担当者や鹿児島県の担当者、奄美群島振興開発審議会委員らが出席。「奄美群島振興開発の現状と課題」について活発な意見が交換された。また、2019年3月末に期限を迎える現行法の延長を求める声があった。

 奄美群島振興開発審議会は、奄美群島振興特別措置法(奄振法)に基づいての開催。今回は、奄振法が18年度末に期限を迎えることから、奄美群島の振興開発について審議された。

 「西郷どん(大河ドラマ)で活気づいた奄美だが、観光客などの受け入れ先などの課題がある。今後の奄美の問題をきちんと討議してほしい」との、秋元司国土交通副大臣のあいさつで始まった審議会は、国交省の中村希企画調整官が、奄美群島を取り巻く現状を解説。人口が減少していること、高校卒業後に奄美に就職する人より、関西・関東へ行く人が多いことなど計画期間中の主要指数がマイナスとなっている半面、入込客数や外国人宿泊者が増えているなどを説明、審議委員の質疑に担当者らが答える形で進んだ。

 11人の委員のうち7人が出席、会長の原口泉志學館大学人間関係学部教授が欠席したため、副会長の大川澄人ANAホールディング㈱常任監査役が進行役に。「世界遺産といっても、小さな地域では理解しきれていない。群島全体に利益が回っていくマスタープランはないのか」「屋久島と連携して観光客は呼ぶことができないのか」などの質問が。それに対して「先に世界遺産に登録されている屋久島と組んで何ができるのか検討している」などと応じていた。

 委員として出席した伊集院幼大和村村長(大島郡町村会会長)は、「人口減少する中で、人材をどうしていくかが大事。また地域住民を巻き込んで、奄美らしい観光スタイルを用意すること」。女性農業グループ「スマイル」代表の本部玲子さんも「出身者に年に一度でもいいから航空運賃の軽減をさらに考えてほしい」と提案。また、「長い目で見た奄美の観光を見据えた考えも必要」(文教大学国際学部・海津ゆりえ教授)などの課題も上げられた。

 一方、来年3月末に期限を迎える現行法には、「12市町村を代表して奄美の良さを伝えていくため必要」(伊集院村長)、「日本における奄美の役割をさらに考えることも必要」(岩切剛志副知事=三反園訓知事代理)との観点から、延長を求める意見があった。

 ほか、産業の振興や防災による安全・安心の確保などの視点で意見が交わされた。今後、審議会を重ね、振興計画の検証などを進めていくことが確認され、奄美群島振興開発基金の検証に関するワーキンググループの設置が報告された。