漂着油 自治体がHPで周知

漂着油 自治体がHPで周知

奄美海洋展示館に設置された海岸への立ち入り自粛を呼び掛ける張り紙

情報で住民の注意促す
海岸立ち入らない呼びかけも
沈没タンカーとの関連不明

今月1日以降、奄美群島で確認されている漂着油に関して、県は6日、ホームページ上で「奄美大島周辺地域の漂着物に関する情報」の周知を始めた。県大島支庁建設課では漂着油の回収方法などのマニュアル策定を進めており、一日も早い防除作業開始を目指している。

同ページでは同支庁建設課、農村整備課と4事務所が実施した調査の結果を報告している。7日までに行われた調査では奄美大島西部を中心に、群島内全島で漂着が確認されているという。ページ内には住民向けに、体調への配慮、皮膚に油が付着した際の対応などの除去作業時の留意点が記載されているが、回収作業の準備が整うまでは活動を自粛するよう呼び掛けている。

各市町村によると、7日までに群島内12市町村全てで油の漂着が確認された。ほとんどの自治体が防災無線での呼びかけや、各集落区長への連絡、ホームページへの掲載などで住民の注意を促している。また、奄美市が9日、大和村が10日に試験的な防除作業の実施を予定。作業状況を見て、今後の対応に生かすとしている。

同支庁建設課では回収作業用のマニュアル策定を急ぐ。5日以降に同支庁職員が行った作業を元に、作業時の防護や処理方法も盛り込んだマニュアルを考案。同課の島田公史課長は「作業手順を示したものを一日も早く発表できるように急いでいる。市町村の自主的な防除作業については市町村に任せている」と語った。マニュアルなど今後の対応が決まり次第、同ホームページ内にも公表する予定という。

油漂着による困惑は海岸付近の施設などにも広がる。奄美市名瀬の大浜海浜公園にある奄美海洋展示館は3日、海岸への立ち入りを自粛するよう張り紙を設置している。海岸から同館に続く遊歩道にも油が付着しており、職員らは除去作業に追われている。同館職員は「浜を目当てに来ている人も多いので残念。情報を知らない観光客が砂浜に立ち入り、その足で歩くので汚染が広がっている」と話し、「砂に埋もれて見えなくなっているので、落ち着くまでは海岸に入らないでほしい」と呼びかけた。

第10管区海上保安本部は6日、十島村、奄美大島、喜界島に漂着した油状物を分析した結果、漂着物は重油か原油と判明したと発表。1月に奄美大島西方沖で沈没したイランのタンカー付近の海面に浮流する油と、漂着油が類似するものだという結果はなかったものの、引き続きの調査、船主側への情報提供の働きかけを続けるとしている。