宇検村田検小 「対馬丸事件講話」

宇検村田検小 「対馬丸事件講話」

児童たちに講話を行った語り部の大島さん

平和の大切さや尊さ学ぶ
語り部大島さん 慰霊碑「悲願を実現」

 宇検村の田検小学校(平島勝彦校長)は10日、同校の図書室で郷土学習「対馬丸事件講話」を開いた。小学4~6年の児童24人が、事件の語り部・大島安徳さん(91)から平和の大切さや生命の尊さを学んだ。

 同村宇検の船越海岸などには、1944年8月22日に悪石島付近で沈没した学童疎開船対馬丸の遭難者や遺体が数多く漂着。昨年3月には、同海岸に鎮魂する慰霊碑が建立されていた。

 児童たちに大島さんは、「宇検集落在住で事件当時は18歳。古仁屋要塞司令部から憲兵が来てかん口令が敷かれた」ことなどを説明。「対馬丸事件は、海難事故の大惨事だった。宇検の海が、肉の海と化してまともな感覚ではできず、焼酎で麻痺させて埋葬に当たった」と述懐した。

 また事件後に8月15日は敗戦の日と捉えて、20年間自身の短歌の短冊とハイビスカスの花を添えて枝手久島の海峡に流して鎮魂していたことも話した。「長い間、テレビや新聞などで事件のことを語って来て慰霊碑の建立を思い立ち、村当局に何度もお願いして悲願を実現できた時は、慰霊碑に抱き着いて号泣した」。

 枝手久島で救助された事件の生存者の平良啓子さんの著書『海鳴りのレクイエム』の一節も紹介。大島さんは事件の語り部が少なくなっていることから「生きている限りは、事件のことを語り続けていきたい」と結んだ。

 郷土学習に参加した5年の柳原結=ゆう=さんは、「大島さんから事件のことを聞けて良かったです。慰霊碑も今度見てみたい。もっと事件のことを知りたい」と話した。