「西郷どん」テーマ曲も披露

「西郷どん」テーマ曲も披露

丁寧にシマ唄の解説を交えて熱唱する里歩寿さん(左)と里アンナさん(右)

「西郷どん」のオープニングテーマ曲を披露した里アンナさん

里歩寿さんと里アンナさんの奏でる、シマ唄の世界に浸る客たち

里アンナさんライブ
里アリスさんと共演で魅了

 【東京】「西郷どん」のテーマ曲が心の奥に響いた――。唄者・里アンナさんと里歩寿(アリス)さんは4日、江戸川区小岩にある沖縄料理居酒屋「こだま」で、「スペシャルライブ」を共演で行った。シマ唄のほかに、大河ドラマのオープニングテーマ曲も披露。席を埋め尽くした客たちは、店自慢の料理と黒糖焼酎などに酔いしれていた。

 「同じシマ唄でもカサン(北部地域)とヒギャ(中南部)で全く違います。そのあたりも聴き比べて楽しんでほしい」。そう控え室で話していた里アンナさん。その言葉通り、里アリスさんとのライブでは、丁寧な説明をした上で熱唱。「メロディーが違って、相手につられそうになった」と互いに顔を見合わせながらも、「朝花」を披露。その後も曲の成り立ちを解説した後に、「よいすら節」などを、初めてシマ唄を耳にする人にも分かるように丁寧に歌い上げていった。

 1部が終了したのは、ちょうど午後8時。同時に、「西郷どん」の曲をリクエストする声が上がった。「歌う予定はありません」と話していたアンナさんだったが、さすがに応じないわけにはいかなかった。そのアカペラでの力強い歌声は、魂を揺さぶった。静寂の後に、大波のような拍手と歓声が沸き起こった。

 一方、アリスさんも定評のある声はさすがだった。また、祖父の話題で笑いを取るなど多彩なMCぶりで会場を沸かせていた。満員80人で膨れ上がった会場にいた全てが二人のステージに魅了された。

 この日、名古屋から駆け付けた会社員の長田(ながた)実さんも、その一人。仲間内の会合にゲストに来てもらうほど、アリスさんとは顔見知りだが二人のジョイントに立ち会うのは初めて。

 福岡・小倉出身の長田さんは、シマ唄に出会い三味線を1年半前から始めた。「素晴らしかった。練習曲の『イトゥ』や好きな『豊年節』も聴けて大満足です」。帰りの夜行バスの時間を気にしながら、余韻に浸っていた。

 「久しぶりに一緒にできて楽しかった」と笑顔のアンナさんとアリスさんは、24日に町田の「まほろ座MACHIDA」(開演午後6時半)で一緒にステージに立ち、故郷・奄美の民謡を奏でる。