徳之島で世界自然遺産シンポ

徳之島で世界自然遺産シンポ

「われんきゃガイド」発表もあった世界自然遺産シンポジウム(円内は増田泰・知床財団事務局長)=11日、徳之島町

「自然遺産地域の主役は住民」
知床事例や「島っ子ガイド」発表も

 【徳之島】世界自然遺産シンポジウム「平成30年夏世界自然遺産登録に向けて~保全と活用について~」(徳之島3町主催)が11日、徳之島町生涯学習センターであった。「島っ子ガイド」先例地の三重県鳥羽市立神島小教諭や、官民一丸で遺産登録区域の保全と活用を推進する公益財団法人「知床財団」事務局長ら専門家4氏が講演。出席者たちは「同遺産登録は出発点。遺産地域の主役は地域住民」であることも再認識した。

 世界自然保護連合(IUCN)の評価報告に続き今年6、7月ごろには世界遺産委員会の登録可否の決定が見込まれる中、住民意識の醸成を目的に3町が主催。行政や住民、NPO法人など関係者ら約120人が出席した。高岡秀規徳之島町長のあいさつに続き、徳之島町手々小と伊仙町阿権小の両校児童ら「われんきゃ(子どもたち)ガイド」の実践発表があった。

 講演には、「われんきゃが主役!集落ガイドの活躍と展望」を主題に全国に先駆けた「島っ子ガイド」で注目を集めた▽廣川清治・神島小教諭▽徳之島サイドで同ガイド育成に当たっている西村千尋長崎県立大教授。「世界自然遺産 知床遺産登録がもたらす地域への影響」を主題に、▽同指定にも大きく貢献した元環境省知床事務所長の星野一昭鹿児島大特任教授▽町行政から約10年にわたって知床財団に出向、行政主導の官民一丸で軌道に乗せた増田泰事務局長の計4氏が登壇した。

 全国の小学6年生の教科書にも載った「島っ子ガイド」の取り組みで、廣川教諭は「子どもたちの変化は、大人を変えて、島を変えた。同活動に勇気づけられ、活性化のための連携や協力が生まれた」。星野氏は「世界自然遺産の価値を損なわずに、豊かな地域づくりに生かすには、理解と協力を基本に、地域が一体となった取り組みが求められる。世界自然遺産地域の主役は地域住民だ」。

 増田事務局長は「世界自然遺産が何かをしてくれる訳ではない。どう生かすかは地域次第。遺産の保全は持続可能な地域づくりにもつながり、郷土を見つめなおす良いきっかけにも」と強調。斜里、羅臼両町を中心にした知床の同財団(正規職員26人・期限付き同14人、2016年度決算2億9646万円)は行政主導で設立されたが、「徳之島では民間団体主導でも良いのでは」ともアドバイスした。