環境副大臣が現地視察

三反園知事(左)と面談し、油漂着に関する方針や対策について確認した渡嘉敷環境副大臣(右)

漂着が特に多く確認された知名瀬海岸で実際に回収作業に取り組んだ渡嘉敷環境副大臣

生物への影響注視
「自然遺産登録に影響ない」

 今月1日以降、奄美群島の広い範囲で油の漂着が確認されている問題で14日午後、渡嘉敷奈緒美環境副大臣が奄美市の4カ所の海岸を視察した。同日午前中には県庁で三反園訓知事と面談し、意見を交換。面談後、三反園知事は「奄美の世界自然遺産登録には何ら影響はない。回収作業に全力で取り組みつつ、漁業への影響も考えて対処していきたい」と県としての方針を語った。

 面談は漂着油の回収作業について、環境省と県や市町村の連携を強化するために実施。渡嘉敷環境副大臣は面談後、「1日も早く解決できるよう全力を挙げて応援させていただきます、ということを申し上げに来た」と語り、環境省が①本省・九州地方環境事務所・那覇自然保護官事務所からの職員派遣による増員②自治体やボランティア作業員に対する技術の提供と補助金申請のサポート③環境への影響調査とモニタリング調査―の3点に取り組んでいると説明した。

 このほかにも同省が進める対応策として、8日以降、県の要請を受け「海岸漂着物等地域対策推進事業」の補助金1790万円を追加するなど金銭的補助も行っている。同事業は回収・処理作業にかかる費用、事業者への委託に活用することが可能。渡嘉敷環境副大臣は「新年度予算の中でも繰り出しできるよう対応したい」とした。

 同日午後から、渡嘉敷副大臣は奄美市名瀬の知名瀬海岸、大浜海岸、朝仁海岸と同市笠利町の用海岸の4カ所を視察。現場の状況を確認し、対策を練るため、実際に漂着物を回収するなど精力的に現状把握に努めた。

 回収作業を行った渡嘉敷副大臣は「海岸によって漂着状況が一様ではない。それぞれの海岸で対応を変える必要がある」と話した上で、「砂に埋もれる可能性もあるため、一刻も早い対応が求められる」と述べた。また世界自然遺産登録への影響については三反園知事と同様に「森の生きものなどに関して申請しているため、影響はない」とした。

 懸念が深まる生物への被害については「アオウミガメ以外にも生物やサンゴに被害が出ている可能性がある。今後も注視していきたい」と答えた。海産物への風評被害を懸念する声に対しては「正確な情報が伝えられず、憶測が流れる場合に起こるのが風評被害。環境省としては、得た情報は早く、正確に皆さまに伝えたい」と答えた。

 同省によると、海域公園に近い、大浜海岸、用海岸のほか、漂着量が多い朝仁海岸、知名瀬海岸、大和村の今里海岸を重点的に監視。14日からは国立公園の海域公園地区で海上調査を開始した。サンゴや海洋生物への影響の有無などを船上から目視で確認し、今後は水中カメラを使用した調査も行う予定という。

 また13日には知名瀬海岸で、身体の一部に油が付着したオオミズナギドリの死亡個体が発見されており、同省は死因の確認を急いでいる。15日には三反園知事も現地視察を行う。