若者の声を地域で共有した「青壮年団とムンバナシ」を開催
高齢社会に対応した基盤整備の柱として、国が掲げる「地域包括ケア」システムの構築に向け、各自治体での取り組みが始まっている。一方で、システム実現は模索途上で、介護と医療の連携に地域格差が見られるなど課題も多い。そんな中、集落の抱える問題や課題を分析し、対応策を考えようと奄美市住用町は現在、住民同士の支え合い(共助)を中心とした地域づくりに力を注ぐ。
同システム運用に向け、国は自治体レベル(第一層)と、校区など生活圏レベル(第二層)の2層構造による協議体の形成を推進している。
2年前に第二層協議体「地域支え合い体制づくり協議会」(山田紘一・地域支援コーディネーター)を設立した同町はこれまで全集落を回り、活動や事業の説明や意見交換会を開催。高齢者のニーズ調査で浮かび上がった「買い物支援」要望を受け、同市名瀬市街地の大型スーパーに乗り合いする「ドライブサロン」も試験的に実施し、将来を見据えた地域づくりに取り組んだ。
今後進行する少子高齢化を踏まえ、同協議会は13日夜、住用公民館で「青壮年団とムンバナシ(島口でお互いが話し合う)」を初開催した。委員、市職員、青壮年団メンバーを合わせ約40人が参加。地域づくりに反映させようと、グループワークを通じて若者が地元をどう見ているのか、これから地域で暮らしていくため必要なことなど率直な声を聞いた。
グループ討議後の意見発表で若い世代のメンバーは、賃貸住宅や店舗、保育所など託児所が少ない生活面の不満を挙げたほか、「独身者が近くにいない」「飲み屋が少ないので、名瀬まで出かける必要がある」などを訴え。
またUターン者が牽引役となって青年団を活性化させた事例を紹介。青壮年団合同による地域行事などの提言も出、子どもから年配者が一体となって取り組む雰囲気づくりを呼びかけた。
山田コーディネーターは定住促進や子育てなどの支援に理解を示した上で、「幅広い世代が意見を交わせる場を今後も設け、支え合い地域の実現につなげたい」と話した。