「自然守る良い手段」

バスツアーの参加者に適正利用化実証実験のアンケート用紙が配布された

適正利用実証実験 ツアー参加者、理解示す
金作原

 環境省、林野庁、県、奄美市、奄美群島広域事務組合、奄美大島エコツアーガイド連絡協議会らでつくる「奄美大島利用適正化連絡会議」は16日、同市名瀬知名瀬の金作原で利用適正化の実証実験を開始した。初日は朝9時から午後5時までで、現地を事前予約の貸切バス1台とガイド同行の一般車両5台が利用した。それとは別に規制を呼び掛ける知名瀬集落側入り口を突破した車が1台、そこから引き返した車が1台あった。利用者やガイド事業者にアンケート用紙も配付され、その結果を踏まえて実験効果などを検証する。

 同日朝9時ごろに貸切バスで大手旅行会社主催の奄美諸島をめぐるツアー参加の23人が、金作原内の林道を散策。約40分間同地の自然を満喫した一行に、ゲート前に待機する県の委託業者から参加者へのアンケート用紙が手渡された。

 利用適正化の実証実験やアンケートなどについては、バス内で説明を実施。愛知県の安城市と刈谷市から訪れた母娘は、奄美大島にツアーで初めて来島し実証実験をバス内で説明されて知ったという。

 刈谷市在住の娘の清水麻美さん(36)は、通行規制などのルールについて「自然を守るためには良い手段。世界自然遺産になったらいい」と理解を示した。母親の篠田千賀子さん(64)は、「自然が一番。規制は、どこでもあること。壊すのは簡単」と話した。

 林道知名瀬線の知名瀬集落側入り口で、車両通行調査などにあたった奄美大島エコツアーガイド連絡協議会の喜島浩介会長は、「実証実験をやらないと次の段階に進めない。いまのところ事前の周知のおかげで、実験を知らない車は来ていない。来訪者が増加しているので規制されるのは良いことでないか。自分たちで来て普通に歩いても、金作原の価値を十分に楽しめないだろう。規制を続けないと世界自然遺産推薦地の良さが失われるかもしれない」と語った。

 奄美市環境対策課世界自然遺産推進室の藤江俊生主幹兼室長は、「事前の広報に努めた。現地へはガイド同行で行ってもらいたい。実験への皆さんの協力をお願いしたい」と話した。