「安心安全に貢献」

「安心安全に貢献」

県の床上浸水対策事業で川幅の拡張工事などが行われた戸口川

事業完工に伴い建立された記念碑

龍郷町戸口 床上浸水対策事業が完工

 

龍郷町の大美川・戸口川流域では、2010、11年に連続して発生した豪雨災害などにより、甚大な浸水被害が発生した。これを受け防災対策として県は12年度から床上浸水対策特別緊急事業を実施。同町戸口地区での整備が終了し、地元からは「安心安全に貢献する事業」として喜びの声があがっている。

県大島支庁建設課によると、大美川・戸口川流域での浸水被害は、10年10月20日豪雨で浸水面積17㌶、浸水家屋133戸(床上104戸、床下29戸)、翌年9月25日にも浸水面積24㌶、浸水家屋72戸(床上50戸、床下22戸)の被害が2年連続で発生した。災害を契機に、県は大美川では河口から大美橋までの1・9㌔区間、戸口川では河口から1・2㌔区間、合計3・1㌔区間で緊急事業を進めてきた。

事業期間は12年度から16年度(繰越含む)で、約32億円を投入。全体延長3・1㌔(大美川1・9㌔、戸口川1・2㌔)に及ぶ。事業内容は全域にわたる川幅拡張が中心。川の幅を10㍍広げるとともに、川床を60㌢掘り下げ、堆積している土砂などを取り除いた。また、高さが足りない所は築堤を施したほか、護岸工事、橋梁架け替え(4橋)も行われた。

県は、事業導入により流下能力の向上で「洪水を安全に流下させる」ことを目標化。計画流量を大美川で毎秒540㌧(河口地点、改修前は同250㌧)、戸口川で毎秒180㌧(合流地点、改修前同60㌧)に設定。河道整備などにより流下能力は、大美川で約2倍、戸口川で約3倍の向上が図られた。事業期間後の昨年8月の台風5号襲来時には、大勝地区の雨量観測所で連続雨量663㍉(11年9月の大雨時は543㍉)を観測したが、戸口地区での浸水被害はなく、事業効果を示している。

地元を代表して龍郷町の竹田泰典町長は「事業は町民の安心安全にたいへん貢献しており、とても喜ばしい。被災した戸口地区の住民は大雨のたびに不安で河川の状態を心配していたが、昨年の台風時の大雨でもまったく問題なく、安堵している。今後は大勝地区での事業化を国・県の協力で進めていきたい」と語った。

なお、今月9日には床上浸水対策特別緊急事業の竣工式が戸口地区振興センターであった。大美川と戸口川の合流地点の川岸には事業完工の記念碑が建立されており、除幕式も行われた。