せとうち観光協会総会

奄美せとうち観光協会の総会後に大型クルーズ船寄港地誘致に関する説明会があり、眞地企画課長が計画について説明した

漁協に続き、要望書撤廃
クルーズ船誘致「原点に返って最初から」

 奄美せとうち観光協会(松村保宏会長、会員数67事業者)の2018年度総会が22日、瀬戸内町商工会館であった。会則の変更、16年度の事業・決算報告と17年度事業案、予算案の承認などが行われた。総会終了後には町による大型クルーズ船寄港地誘致についての説明会があり、紛糾。同町の眞地浩明企画課長は会員からの指摘を受け「町としては原点に返って最初から考えていきたい」と答えた。

 総会では4月1日からだった同協会の会計年度を1月1日から12月31日に変更することを承認。17年度は388万千円の次期繰越金を計上し黒字。これは会計年度を1月からに変更したことによるもので、繰越金は1月から3月までの海の駅観光案内所職員らへの賃金などにあてられるという。

 総会終了後には同協会側からの要請で眞地課長らが登壇し、大型クルーズ船寄港地誘致に関する経緯などを説明。眞地課長は「国の計画では最終的には住民説明会などを経て、県と自治体の意思で決定するもの。まだ話し合いの土俵にも上がっていない段階」と県への要望が寄港地建設を決定したものではないことを解説した。これに対し、会員からは世界自然遺産登録を推進する一方で同誘致を進めていることの矛盾を指摘する声などがあった。

 争点となったのは、同協会も含めた町内4経済団体からの連名で町に提出された要望書について。会員らは同要望書への署名押印は会員に知らされていなかったものだと指摘。要望書に署名した松村会長は「皆さんの意見を聞かずに、会長が独断でハンコを押したことについては申し訳ない」と謝罪した上で、「協会としてはいったん、要望書への押印は取り下げる」と答えた。要望書への署名撤回を表明したのは瀬戸内漁協に続き2団体目となる。

 また会員から「町としてはクルーズ船誘致を白紙撤回したということでよいのか」という質問があり、眞地課長は「町としては原点に返って最初から考えていきたい」と回答した。また同席した奥田耕三副町長は「私どもの説明と配慮が欠けており、町民と関係団体に迷惑をかけてしまった。住民に説明をした上で、互いに議論する場を設け、話し合いの中で決めていきたい」と話した。

 同協会は今後、署名撤回を町側に報告する。誘致への賛否については会員の意見を反映し、協会としての立場を示すという。