赤土等流出防止学習会

赤土等流出防止学習会

奄美の海洋生物の保全と活用について講演した興さん

環境守り後世残す努力を
興さん講演 漂着油「海中では以上見られず」

 奄美地域赤土等流出防止対策協議会(会長・鎮寺裕人大島支庁長)と大島本島地区赤土等流出防止対策協議会(会長・田中完同総務企画部長)は26日、奄美市名瀬の大島支庁奄美会館会議室で2017年度赤土等流出防止対策学習会を開いた。各種関係団体や行政機関など約50人が参加し、流出防止対策の優良事例表彰や講演が行われ、今後の防止活動の啓発などを確認した。

 開会行事で鎮寺会長があいさつ。「漂着油について、市町村職員や住民の協力で回収作業は順調で感謝している。対策協議会で、赤土等流出防止活動の啓発を行う。協力をお願いしたい」と述べた。

 続いて優良事例表彰で授与式を実施。大島本島地区赤土等流出防止対策優良事例表彰を受賞した奄美市笠利町の「宇宿ゆいの郷ティダむらづくり隊」(岩元好量代表)に、田中会長から表彰状が手渡された。

 学習会の講師を奄美海洋生物研究会の興克樹会長が担当。「地域資源としての海洋生物の保全と活用」の演題で、スライド資料や動画を用いて講演した。

 興さんから講演冒頭で、国際ウミガメ会議が18年度は与論島で開催されることが報告された。漂着油について「海洋生物に対する漂着油の影響を調査。調査した3地点では砂浜には確認されたが、海中では特に異常は見られなかった」と語った。

 「大浜海岸でサンゴ礁が回復しつつあったが、昨年の夏の高海水温で白化してしまった」とし、サンゴ礁を守るために赤土等の流出防止や生活排水の流入対策を呼び掛けた。

 近年、奄美大島周辺海域で出現頭数が増加しているザトウクジラについて「ホエールウォッチングの利用者が増えている状況」と指摘。「日本が北太平洋で唯一のアカウミガメの産卵地。奄美で産卵地の保護を推進していきたい」。

 興さんは「ザトウクジラやウミガメ類、サンゴ礁などの海洋生物を陸上の希少種、伝統文化同様の資源」と位置付け。「みなさんの努力で赤土や生活排水の流出などをできるだけ防いで、環境を守ることで環境教育に活用し後世に残せればいい」と締めくくった。