奄美市名瀬山間部の旧市道沿い約30㍍に渡りスギナの自生が見つかった
龍郷町大勝で見つかったボタンウキクサ
スギナ
奄美市と龍郷町で9日、外来植物であるスギナとボタンウキクサが見つかり相次ぎ報告があった。発見したのは同市・同町の自然観察員らで、両植物とも奄美大島内での自生は既に確認されているものの分布状況などは不明。今後は手引の作成や実態調査などを行い、住民やボランティアの協力を仰ぎ、被害防止へ向けた駆除を急ぐとした。
繁殖力の強い外来種が入り込むと、古来の植物の多様性が損なわれる恐れがあるため環境省や県、各市町村などは厳重な注意を呼びかけている。アフリカ原産のボタンウキクサは「特定外来生物」に指定されており、植栽や栽培を厳しく禁止。一方、スギナは特定外来生物に指定されておらず、環境省が注意を呼び掛ける「生態系被害防止外来種リスト」にも含まれていない。
今回見つかったスギナは、奄美市名瀬山間部の旧市道沿い約30㍍に渡り自生。「奄美の自然を考える会」(田畑満大会長)の當田嶺男顧問が住民の連絡を受け確認した。
スギナは、昨年3月にも同地数㍍先で約15㍍に渡る自生が確認されており、奄美市環境対策課が駆除。當田顧問は「昨年残った種子が雨などで流れ出し、芽を出した恐れもある」と話した。
當田顧問は、「早期の発見、防除が重要」と話し同日、市環境対策課へ報告。當田顧問は「近日中にボランティアなどを呼び掛け、根絶へ向けた除去作業を行いたい」と話した。
一方、龍郷町大勝に流れる大美川に面する水田では、群生するボタンウキクサを県自然保護推進員の宇都宮英之さんが確認。同地で約4㌶の水田を管理する南重喜さんは「3年ほど前から見かけるようになった。昨年も急速に広がったため、農作物への影響を考慮し大きな除去作業を行った」と話した。
宇都宮さんは「ボタンウキクサは繁殖力が非常に強く、とにかく早い。水面に広がることで農作物の光合成を阻害する」と述べ、「ボタンウキクサに限らず外来種の放置が続くと、奄美の世界自然遺産登録へも少なからず影響がでる」と指摘した。
宇都宮さんは、葉一枚からでも増殖するボタンウキクサの特徴を指摘した上で「ボランティアだけでの完全除去は非常に厳しい」としながらも「近日中には体制を整え除去を進める」とした。
今回、外来植物の確認と同時に両者ともに早期防除対策の実施を表明。奄美の世界自然遺産登録と同時に、水際対策として、自然を守るための攻防もすでに始まっている。