住用町で国立公園考える意見交換会

住用町で国立公園考える意見交換会

国立公園管理運営計画作成に向けグループ別で意見交換を実施

適正利用「ルール作り必要」
地元の魅力や問題点検討

 環境省奄美自然保護官事務所は10日、奄美市住用町の住用総合支所で「奄美群島国立公園 公園づくり計画を考える奄美市意見交換会(ワークショップ)」を開いた。行政や一般など約30人が参加。レンジャーから奄美群島国立公園などの説明を受け、グループで地域の魅力や問題点をまとめ国立公園管理運営計画の作成に向け意見を交わした。

 開会で同支所の松原昇司事務所長があいさつ。「国立公園が誕生して、早一年になる。より地域の実情に即した国立公園づくりを環境省と行っていく。保護と利用の方向性を一緒に考えていきたい」と語った。

 同事務所の千葉康人上席自然保護官が、奄美群島国立公園についてスライド資料を用いて説明。奄美群島国立公園は、▽豊かで多様な自然景観▽固有で希少な動植物を多く含んでいる生態系▽人と自然の関わりを感じさせる文化景観で指定され、自然保全と地域の持続的発展の両立を目指す―とした。

 続いて国立公園管理運営計画を事務局から説明。「管理運営計画は国立公園の適正な保護及び利用推進を目的とし、協働型管理運営を目指す」と解説した。

 参加者は四グループに分かれ、住用を中心とした地域の魅力や問題点を洗い出す作業に着手。各自が海岸や集落内、道路沿いなど項目ごとに付せん紙に書き出し、模造紙に貼付してグループ内で討議し意見をまとめた。

 まとめた意見について模造紙を掲げ、他グループの前で発表。リュウキュウアユや神屋タンギョ、三太郎峠などが良い場所とされ、課題としてノネコ問題やオーバーユース(利用過多)等が指摘された。

 各グループの意見発表から千葉さんはインフラ施設整備、オーバーユース、ノネコ問題を共通課題と位置付け。「オーバーユースは三太郎峠、スタルマタ線でのナイトツアーで発生していて深刻。適正利用のルール作りは必要。観光客の増加で利用の在り方を一緒に考えていきたい」「人の住居と自然が近いので、野良猫がノネコになり森の野生動物に被害。飼うことは否定しない。適正飼養の理解を求めていく」とした。

 気になった意見として商業主義に傾くなどして住民意識と世界自然遺産の乖離=かいり=があるのではないかを挙げた。千葉さんは「大事な問題と受け止め、バランスとりながら自然守っていきたい。みなさんの意見をまた聞かせてほしい」とまとめた。

 千葉さんは管理運営計画の作成に向け、「今後も意見交換会など行いたい。18年度中で奄美大島と徳之島の意見などまとめ有識者の検討会を立ち上げ、19年度に計画が発表できれば」との見解を示した。