劇団稀が旗揚げ公演

第三部・AVOIDANCEを演じる屋敷繭子さんと山下千穂さん


観衆にお礼を述べる劇団員たち

温かい拍手や声援で後押し
3作品上演

 演劇で奄美を活気づけようと結成された「劇団稀=まれ=」(永田彬也代表)の旗揚げ公演が10日、奄美市名瀬のAiAiひろば2階で行われた。会場では用意された150席も埋め尽くされ、立ち見の出る熱気ぶり。団員らは、観衆の温かい拍手や声援の後押しを受け、奄美拠点の劇団として、新たな一歩に火を灯した。

 同劇団は、2015年の鹿児島で開かれた第30回国民文化祭の出演を機に、奄美大島在住の11人が集まり結成。演出は、映画や舞台で活躍する奄美市笠利町出身の中山史尚さんが手掛けた。

 今回芝居を演じるのは、20~70歳代までの経験も背景も異なる8人。団員は「奄美を盛り上げたい」との熱い思いで、本番に向け稽古を重ね、この日を迎えた。

 演目は、会社が破綻し自殺を決した男性が、初めて出会う我が子を通して生きる力を取り戻す「第一部・心の風」(出演・永田彬也、中山史尚、山下祐作)。喜界島の伝承民謡をアレンジし島口劇に仕上げた「第二部・アモレウナグ」(出演・山下明美、鈴木るり子、泉匡佑)。引きこもりの姉が、妹との会話を通じ自立を決意する「第三部・AVOIDANCE」(出演・屋敷繭子、山下千穂)の3作品。目の前で繰り広げられる迫力の演技に観衆は圧倒。ピアノやオカリナ演奏も交え、約1時間にわたり観衆を魅了した。

 終演後は永田代表が観衆を前に「まだまだ未熟な劇団だが(これを契機に)若い団員とともに奄美の演劇を深めていきたい」と笑顔。最後は出演者一同通路に出て、観衆の見送りを行った。