トレイル選定18年度4市町村

実証実験で知名瀬集落側入り口において金作原の利用自粛依頼が行われた(2月16日)

環境配慮 指針運用めぐり質問相次ぐ
奄美大島部会

 県自然保護課は15日、奄美市名瀬の大島支庁会議室で2017年度奄美群島世界自然遺産候補地保全・活用検討会の奄美大島公共事業部会と自然利用部会を開いた。公共事業の環境配慮指針の運用や、選定し開通した「世界自然遺産奄美トレイル」の維持管理などについて活発な意見が交わされた。16日には、徳之島町で徳之島部会が開かれる。

 公共事業部会は、公共事業での環境配慮指針(アドバイザー制度)の運用など協議。同制度は16年度から試行され、17年度運用開始し公共事業8カ所でアドバイザーが現地確認を実施した。

 事務局は実施結果から、「アドバイザーの現地確認で、助言が得られた点などがメリット」と強調。一方で人材不足や、島内に専門家がいない分野はアドバイスが受けられないなどを課題とした。

 18年度の環境配慮指針の運用方針では、アドバイザー登録した人材を事業部局の依頼で派遣し助言を実施。事務局から「環境配慮要素がある公共事業は、審査会(年2回予定)を開いて対応する」などの説明が行われた。

 質疑では18年度の運用方針の具体性などについて、予算化や実施体制などの質問が行われた。事務局は「意見など持ち帰り、調整してアドバイザー制度を進めていきたい」とした。

 続いて行われた自然利用部会では、17年度開通した1市3町の奄美トレイル開通式や選定中のトレイルルート、利用適正化などの取り組みを協議。事務局からトレイル運用指針案や検討課題を説明し、観光と利用のルールづくり目指して意見を交わした。

 世界自然遺産奄美トレイルは、17年度に奄美市住用町、伊仙町、和泊町および知名町で開通し宇検村、喜界町、徳之島町および与論町でルート選定。「18年度は奄美市名瀬、大和村、瀬戸内町および天城町でルート選定を予定している」と担当者から説明が行われた。

 利用適正化に関する事業概要や、2月金作原で行われた実証実験の結果速報を紹介。「金作原利用は認定ガイド車両34台、バス5台。事前登録しない利用7台。知名瀬集落側入り口で利用自粛依頼した車両15台で、自粛した車両は8台」などと報告した。

 自然関係や観光関係者などから、トレイルの安全や維持管理体制、利用適正化のルールづくりに関して意見が出された。利用増大を見込んで、トレイル利用時のトイレや安全管理面の不備を疑問視する声や、トレイルマップを販売し維持管理費を捻出する価格設定などの質問もあった。

 利用適正化に関して、奄美大島エコツアーガイド連絡協議会の喜島浩介会長は「世界自然遺産が実現したら、お願いだけでは対応できない状況が起きるだろう。ルールづくりが必要ではないか」とした。