路面状況が懸念される金作原
県自然保護課などは22日、奄美市名瀬の奄美会館で2017年度「第3回奄美大島利用適正化連絡会議」を開いた。民間団体やバス会社、関係機関などから約40人が参加し、2月に実施した金作原での実証実験の結果が報告され、利用適正化に向け夏頃にルール運用を開始するとした提案があり、ルールづくりなどを協議した。
開会で県自然保護課奄美世界自然遺産登録推進室の大西千代子室長があいさつ。「これまで金作原におけるルールづくり検証を行ってきた。実証実験の結果から、今後の方向性について意見を交わしたい」と話した。
議事では、▽金作原利用適正化実証実験の結果(速報)▽今後の利用適正化の方向性―など協議。県担当者から、2月に実施した実証実験の結果や今後の検討事項などが報告された。
実験期間中の車両台数・利用人数や、利用者から回答があったアンケート調査分析なども発表。個人利用者は83人、バス利用者は57人が回答。県担当者は、「個人は女性が多く20~60代まで広い世代が利用し、バスでは60~70代の利用者が多かった」とした。
満足度の項目について、個人・バスの利用者ともに満足していたと指摘。課題に金作原までの道路の路面状況を挙げる利用者もいた。
「アンケートから金作原の利用に何らかのルールが必要と考える利用者が多く、認定ガイド同行義務付けなどに理解を示した」と結果を解説。事務局の説明後にバス会社などから、「路面状況の悪化を何とかしてもらいたい」「ミラーを設置してもらえないか」の要望が出された。
今後の利用適正化に向けて事務局は、「一般車両中心に通行規制の検討、自粛依頼を行い法的根拠によるルール導入、適用範囲など検討を実施したい」と説明。大西室長は、「オーバーユースの危険回避と自然保護のため、今年の夏頃に利用ルール(一般車両の通行自粛依頼とガイド同行利用の推奨)の試行を始めたい。旅行会社などにも働きかけ、冬の旅行商品から協力いただけるよう取り組んでいく」とした。
環境省奄美自然保護官事務所の千葉康人上席自然保護官は、「住民からスタルマタ線などでナイトツアーが増加し混雑している状況が聞かれた。金作原のように利用調整が必要だろう」と指摘した。利用ルールの細部はこれから決められ、18年度も利用適正化連絡会議も継続されるという。