世界自然遺産候補地 科学委第2回WG

奄美大島、徳之島、沖縄北部及び西表島世界自然遺産候補地科学委員会「2017年度第2回奄美ワーキングループ及び沖縄ワーキンググループ」会議が開かれ、モニタリング計画の概要などが説明された

モニタリング計画策定へ

 

推薦4地域で包括的取り組み

 

 【徳之島】奄美大島、徳之島、沖縄北部及び西表島世界自然遺産候補地科学委員会(委員9人)「2017年度第2回奄美ワーキングループ及び沖縄ワーキンググループ」会議が23日、天城町防災センターであった。推薦4地域の自然価値の将来に渡る維持・強化の実現に向け、モニタリング計画(案)を策定。地域間で連携しながら、進めていく包括的な取り組み計画について評価項目、評価結果の管理等に関する各事項概要の説明などがあり、意見を交えた。今後も協議を重ね、計画は18年度内にまとめることを目指す。

 会議には環境省、林野庁、県などで構成する事務局、関係行政機関など含む約40人が出席。奄美大島の地域部会が、金作原(奄美市名瀬)地域の適正利用に関するルールづくりのために、2月(7日間)実施した実証実験の結果を公表。期間中に利用した認定ガイド車両34台、バス5台。利用登録がなかった車両は15台で、うち利用自粛した車両は8台だった。

 検証結果について「予約システム(グーグルカレンダーを活用)はコントロールという部分で一定の効果があった。実験ルールをベースに夏頃に開始したらどうか。課題解決に向けた体制づくりが必要」などとした。

 包括的モニタリング計画では①全体目標の達成状況(顕著な普遍的価値が維持・強化されているか)②地域区分別管理目標の達成状況(推薦地・緩衝地帯・周辺地域における管理目標は達成されているか)③管理の有効性(「管理の基本方針」に基づき実施された管理は有効か―の三つの評価で、②(地域区分ごと)③(管理の基本方針7項目ごと)について、状態評価(良好など3段階)、推移評価(改善など同)を行う。

 ①については、モニタリング指標として、アマミノクロウサギ、ヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコなど固有種のほか、希少種の生息分布状況、生育状況等に対し、推薦時の生息個体数、分布域の維持・増加を評価基準とする。

 各委員からは「陸水環境の状況の調査も必要」、調査者の減少に対し「地元の人を育成などして活用しては」、などの意見もあった。

 本計画では包括的モニタリングと別に、地域別モニタリング計画も盛り込まれる。行動計画の進捗確認と行動計画による管理成果―二つを地域共通の指針に設定し、地域ごとの実施を目指す。

 計画は概ね10年を期間とし、中間時点の5年後、期間終了時期に本計画の変更について検討し、必要に応じて見直しを行う。また、結果や評価について広く一般に公表することとしている。