西古見戦跡に落書き

落書きが発見された西古見の掩蓋式観測所跡(提供写真)


窓枠に書かれた落書き(提供写真)

瀬戸内町教委「自由に見てもらえなくなる」

  瀬戸内町教育委員会は3日、同町西古見の戦跡に書かれた落書きを現地確認して消去した。町教委担当者は、「落書きが続出すると入口を施錠するなど、戦跡を自由に見てもらえなくなる」と今後の再発防止を呼び掛けている。

 落書きがされていたのは、同町西古見の掩蓋=えんがい=式観測所跡。観測所跡は西古見砲台の付帯施設で、現在公園化されているが詳細な調査が行われていないなどの理由から追加調査が必要な戦跡とされている。

 町観光協会職員の正智子さんが2日、現地を訪れた時に発見して、公園管理者である町商工観光課と分布調査を行った町教委の鼎=かなえ=丈太郎学芸員に連絡していた。

 この日、町教委と商工観光課は、戦跡内部に鉛筆で書かれた落書きを確認し記録をとり消しゴムで消去。観測所はコンクリート製の窓枠に大島海峡の島影・方位が描かれていて、実際の眺望に一致する様子が現代でも確認できる貴重な戦跡だという。

 その窓枠の一部に日付とともにイニシャルなどが落書きされており、鼎さんは「戦跡の歴史的重要さが分からない人の仕業だろう」とみている。また今後の模倣犯の可能性を懸念し、「落書きが続くと入り口を施錠したりするなどの対策や警察への届け出など行わざるを得ない。現状のまま自由に見てもらうのは困難になる」と語った。

 同町の戦跡は、当時のまま良好に残っているのが特徴。鼎さんは「戦争の悲惨さや歴史を学ぶ上で、とても重要な遺跡」と位置付けている。

 町教委は子どもたちや未来へと戦跡を残すため、史跡指定を目指して今後も戦跡の調査を実施する。鼎さんは「今後、こうしたことが起きないようにしたい」と注意喚起を訴えている