巡視船「あまぎ」出動式

ロープを使い、船上から岸壁側へ要救助者を運んだ(訓練)

初訓練に“海猿”躍動
海上での治安維持・テロ警戒も

奄美海上保安部所属の巡視船「あまぎ」(田代英己船長)の出動式が4日、奄美市の名瀬港観光バースであった。潜水士3人を含む乗組員や同海保職員ら約50人が参加。公開による今年初の訓練で一般市民も多く見守る中、干支にあやかり“海猿”たちが躍動した。

同巡視船による年始の公開訓練は、日頃の訓練内容を広く市民に知ってもらうことで、海保に対する市民の理解や安心感の向上などにつなげようと実施しており、今年が3回目。

救助訓練では、貨物船が防波堤に座礁して乗組員が取り残され、負傷者も出たとの想定。悪天候でヘリやボートなどによる接近が困難との状況設定の中、岸壁から座礁船に向けてもやい銃を発射。船のマスト部分にロープを連結し、海中から乗船した潜水士と岸壁側の海保部員が協力し、船から陸上へとロープを活用した救助を行った。

続いての訓練は潜水士による船首部から約8㍍下の海中への飛び込み。3人の潜水士それぞれが新年の抱負を叫んだ後、勇ましく海中へ飛び込んだ。

また今回から高速ボートによる機動訓練も追加。海上における治安維持・テロ警戒の任務を意識したもので、2隻のボートが海上で交錯しながら猛スピードで走る姿に見物者からも歓声が沸いた。このほか同船の遠隔放水銃による放水訓練もあった。

訓練終了後、田代船長は「かなりレベルアップした形で実施出来た。事故・災害は起きないのが良いが、万一発生し救助任務についた場合には日頃の訓練を活かし、任務を遂行したい」と力強く語った。

巡視船「あまぎ」は2013年12月に同海保へ配属。長さ89㍍、幅11㍍、重量約1300㌧。30㍉機関砲や複合型ゴムボート(3隻)など装備。速力は27ノット以上で、ヘリが離着可能な甲板も備えている。同海保へ配属後の約2年間で、救難出動回数は20回、救助実績は2隻17人。