酒販店では「西郷どん」効果にも期待が集まる
5月9日と10日は「奄美黒糖焼酎の日」――。唯一奄美群島にだけに製造がゆるされた黒糖焼酎も、昨年あたりから出荷量は増加傾向にあるが、焼酎ブームの沈静化以降、生産量・出荷量ともに伸び悩んでいる。県酒造組合や各蔵元では、群島内の需要喚起に向けた魅力づくりを進めるほか、海外も視野に販路拡大への取り組みを強化し、国内外を問わず知名度向上につなげたい考えだ。
県酒造組合奄美支部(乾眞一郎支部長)のまとめによると、黒糖焼酎の2017年7月~18年3月の需給状況は、出荷量5700㌔㍑で、前年同期比1・1%増加。昨年からは奄美群島での出荷量もプラスに転じ、今年もわずかながら上昇した。
同支部は「各社の地道な営業努力の賜物。格安航空会社やクルーズ船などの相乗効果も要因の一つではないか」と分析。「島の外に目をむければ黒糖焼酎もまだまだ浸透していない。今後も引き続き関係機関と連携して、海外なども視野に知名度アップに努めたい」と話した。
同支部は今後の取り組みについて、奄美市での全九州社交飲食業組合大会や日本保育協会研修会、東京・代々木公園では県酒造組合による本格焼酎ストリートの開催を予定している。また、海外市場開拓のための一歩として、ジェトロロサンゼルスとの米国西海岸でのタイアップ企画も7月ごろを目途に進行中だという。
同支部・牧正二郎事務局長は「東北圏など国内にも焼酎未開拓の地域はたくさんある。今後は様々な場所にも足を運び積極的に売り込みたい」と話し、国外の販売については「市場の拡大には海外での認知度向上も欠かせない。輸出は伸び悩んでいるが、海外へも積極的に出向き販路拡大への足掛かりとしたい」と述べた。
また、今年はNHK大河ドラマ「西郷どん」への期待も熱く、各蔵元では関連商品が続々と登場。各量販店では特設コーナーなど売場の魅力づくりも進むなか、奄美市名瀬の酒販店のオーナーは「まだ集客効果は実感できないが、奄美編の放送はこれから。これまで通り顧客との地道な関係構築は基本だが、黒糖焼酎のファン増加に向けて期待はある」と話した。