天然記念物オカヤドカリ〝一斉産卵〟のメッカでクリーン作戦(提供写真)=13日午前、徳之島町金見海岸
【徳之島】海洋環境保全月間(6月)を前に13日、徳之島町東北端に位置する金見集落(佐武義郎区長、45世帯98人)主催の海岸美化作業があった。集落内外からボランティア約100人が参加。国指定天然記念物オカヤドカリの〝一斉産卵〟でもおなじみの同海浜環境の保全に一役買った。
月一回の町内一斉クリーン作戦とは別に、海岸部を限定に、NPO法人徳之島虹の会(行山武久理事長)の協力で昨年から始めた。参加者たちは初夏の陽気の下、午前9時すぎから1時間余、金見崎灯台下のオカヤドカリの〝一斉産卵〟ポイントのある通称「真崎(まさき)浜」を中心に人海戦術を展開した。
回収されたゴミは、外国から漂着のペットボトルや発泡スチロール、浮きや魚網など漁具、ビン、ドラム缶などを含め、じつに軽トラック約10台分にのぼった。
金見公民館では、集落女性連メンバーたちが昼食の鶏汁やおにぎりなどを炊き出して労をねぎらった。引き続き同町企画課自然保護係の米山太平さん(32)が、国際自然保護連合(IUCN)による世界自然遺産登録の延期勧告(今月4日未明)の背景などを解説。推薦書を取り下げて勧告事項をクリアして再提出した場合は最短で2年後。本年夏の登録に押し進んで勧告を覆せると今年6月下旬~7月上旬。日本政府が二者択一の結果を近く発表する方針であることなども説明した。
同町地域おこし協力隊として今春、家族6人で熊本市から同町手々にIターンした川口明さん(41)は「自然豊かな島の海岸にゴミがあるのは残念。世界遺産になる、ならないは関係なく、きれいな環境で子育てがしたい。自然遺産取り組みに〝温度差〟があるようにも感じた。メリットは大きく、デメリットは小さくが理想と思う」。
多くの協力に金見集落の佐武区長(67)も「漂着ゴミで汚れていた海岸がダイヤモンドのように輝き、ウミガメやオカヤドカリも安心して産卵ができると思う。ご協力に感謝します」。ちなみにヤドカリの〝一斉産卵〟は、昨年は6月21日ごろから始まったという。