優良血統牛の拡大へ

徳之島町受精卵センター落成式=18日、同町徳和瀬

鹿大連携も 受精卵センター落成 徳之島町

 【徳之島】肉用牛農家の所得向上を目指し、優良な血統・高育種価母牛の拡大を図る「徳之島町受精卵センター」(同町徳和瀬)の落成式が18日あった。採卵作業など技術交流・学習の場にも活用していく鹿児島大学共同獣医学部と包括連携協定も結んだ。管理運営は㈱きらめきサポート想(井健二郎代表取締役)に委託した。

 優秀な血統を持つ生産牛(母牛)から採卵した卵は、通常の生産牛では年に1度しか子牛を生産できないが、受精卵の採卵技術を用いると、短期間に優秀な受精卵を年間約10度生産することが可能に。同受精卵を町内を中心に販売・移植を行い育種改良、自家保留の増頭によって農家経営の安定を図るのが目的。

 場所は、㈱きらめきサポート想が管理運営する肉用牛濃厚飼料など生産する同町TMRセンター敷地内。施設は牛房、採卵室、凍結室、検検卵室、研修施設、テラスなどからなり面積255・6平方㍍。超音波診断装置、プログラムフリーザー、各種顕微鏡など機器を完備。事業費は4708万4600円(県市町村振興資金1000万円、町一般財源3708万5千円)。

 落成式には畜産農家や関係機関・団体代表など約60人が出席。高岡秀規町長はあいさつで既設のTMRセンターと併せ、同受精卵センターによる優良血統種の導入推進と鹿児島大との連携による底上げ。町肉用牛振興会の森英路会長も同活用による経営安定にそれぞれ期待。

 協定締結は鹿児島大共同獣医学部の窪田力教授と高岡町長がかわした。窪田教授と宮本篤同学部長は、国内第1号のクローン牛生産など国内トップレベルの研究を通じた包括的連携にも意欲を示した。施設敷地には、実習・研究生らの宿泊施設も整備され、㈱ひらまつ(平松畜産)の平松正弘代表取締役が生活用品一式寄贈の目録を贈った。