植物防疫所の主な仕事内容のほか、最近も確認されたミカンコミバエなどの病害虫について学んだ。顕微鏡でミバエ標本を観察した
奄美市立朝日中(今村典盟校長)で14日、植物防疫について学ぶ出前授業があった。農林水産省門司植物防疫所名瀬支所から職員が来校。先日群島内4地域では、ミカンコミバエが発見されたが、現在の状況を交えながら、病害虫が及ぼす被害、また職員らの仕事などについて講話があったほか、ルーペや顕微鏡でミバエの標本観察も行い、害虫について理解を深めた。
同支所の里山雅人検疫主任が講話。仕事内容について、農業に被害を及ぼす虫や病気の国内流入・拡散の防止業務などを説明し、国内植物検疫に関連して「奄美の南にしかいない害虫、発生していない病気がある。虫の侵入警戒の調査や病気拡大を防ぐ対策などを行っている」などと話した。
2015年、タンカン農家などに大きな被害をもたらし、先日も群島内4カ所への飛び込みが確認されたばかりの、ミカンコミバエを取り上げ、「世界的にも被害をもたらす農業害虫として有名。1匹で卵を千個産む。ミカン等について被害を出す」と解説した。
▽トラップ調査▽寄主果実調査▽地上防除(テックス板)―など状況に応じた対策を説明。昨年、また今月5日にも群島内でミバエを確認。今回発見された4カ所についても同様の対策が取られたことを報告した。
ミバエの大量発生により、15年12月から、翌年7月までに措置が取られた「緊急防除」を紹介。ポンカン・タンカン合わせ約1800㌧を県が買い上げし、額は約5億6600万円となった被害状況に触れ「去年、今年も見つかっている。(被害を防ぐためにも)地元の人の理解も得た対策が大切」などと語った。
3年の田中胡斗龍=ことろう=君(14)は「職員の方々の仕事のおかげで、人が安心して果物を食べられることはすごいこと。タンカンも安心して食べたい」などと話した。