ノネコ50匹を収容し譲渡個体の選定など行う
ノネコの不妊手術など行う処置室
奄美大島ねこ対策協議会(会長・平田博行奄美市環境対策課長)は20日、奄美市名瀬浦上町のノネコの一時収容施設「奄美ノネコセンター」を各報道機関に公開した。事務局から各施設の紹介や、ノネコ譲渡の一連の流れなどが説明された。また環境省によるノネコ捕獲排除事業は、モニタリング調査を経て7月中旬頃から開始される見込み。協議会は、「山中で希少種などを捕食するノネコを排除し、収容施設で譲渡を成立させて希少種保護を図りたい」としている。
島内5市町村でつくる同協議会は2017年度予算1486万6千円をかけて、旧大島工業高校跡地内の旧職員住宅1棟をノネコ一時収容施設として改修。工期は1月26日から3月30日。完成した施設は、鉄筋コンクリート2階建て面積107・96平方㍍(1、2階ともに53・98平方㍍)でノネコ50匹を1匹ずつ収容するケージや、ノネコの病気検査など行う処置室が設けられている。
事務局によると14日の譲渡希望開始後に、約10件の問い合わせが来たという。問い合わせの大半が島外からのものと説明。なお問い合わせ以外にノネコの安楽死に関し、島外などから反対意見の電話やメールが連日来ている状況と明かした。
環境省奄美野生生物保護センターの岩本千鶴自然保護官によると、ノネコ排除捕獲事業は山中などに無人カメラを設置しモニタリング調査を実施して、ノネコの分布状況など分析して7月中旬頃に事業に着手する予定とした。捕獲はノネコがいる場所に箱ワナ100基を仕掛け、作業員3人が毎日箱ワナを点検して捕獲できた場合はノネコセンターに収容させるという。
岩本自然保護官は、「譲渡募集開始とノネコ捕獲排除を1カ月ずらしたのは、適切な譲渡対象者を選出してスムーズな譲渡を行うため」と語った。
ノネコの譲渡希望者は、審査委員会の審査を経て適正飼養に関する講習会を受講すると譲渡認定証(認定された日から1年間有効)を授与され、譲渡対象者として認定。譲渡希望する個体の選定(マッチング)は、基本的に週1回の実施予定。捕獲されたノネコは、血液検査で猫エイズや白血病の陽性反応がない個体が選定に参加する。
譲渡対象者は事務局とやりとりしてマッチングに参加し、希望する個体がいれば譲渡を書類で申請する。マッチングが成立した場合は不妊手術を行い、マイクロチップ装着や登録代4120円と島外への移送費などを負担して譲渡対象者に引き渡される。
平田会長は「譲渡募集開始で、住民の関心も高くなっている」と指摘。「しっかりとした譲渡希望者を選出し、ノネコ個体のスムーズな譲渡に努めたい」「ノネコの山中での捕獲排除に、環境省と協力しながらやっていきたい。最大限に譲渡に努めて、希少種の保護に着実に取り組んで行きたい」などと話した。