「長寿と子宝のまち」を行政視察した札幌市議会自民議員団=20日、伊仙町中央公民館
【徳之島】北海道札幌市議会の自民党議員団(宮村素子顧問)一行7人が20日、約3千㌔離れた「長寿・子宝のまち」伊仙町を行政視察した。合計特殊出生率が全国下位クラスの同市(1・08)と真逆の日本一(2・81)を誇る同町の子育て支援や、地方創生の主な取り組みなど背景を探った。
同町は約5年前から少子化対策や地方創生取り組みの観点から全国自治体関係らの行政視察が絶えない。札幌市議会一行は今年で7団体目。北海道の合計特殊出生率がわずか1・28(全国平均1・43)。とりわけ政令指定都市・札幌の1・08は全国1742市町村中1712位。出生率日本一(2003年~12年)の町に少子化対策のヒントを求めた。
同町中央公民館であった説明会は大久保明町長をはじめ町保健センター、町未来創生課職員らが効率よく対応。同町の子育て支援(母子保健事業など)の概要や子宝要因のアンケート結果(①親や兄弟・友人・近所の人など子育て支援する人がいる)。同町での子育ての最大の魅力「環境・集落・学校・結の精神・行政=地域力」。「子(くゎ)どう宝」(子は宝)の精神が育んだ共助―などを解説。
地方創生は、合計特殊出生率日本一と2人の長寿世界一(泉重千代さん120歳、本郷かまとさん116歳)、100歳以上高齢者(人口10万人比で298・3人、同全国51・68人)など特性を生かした取り組みを紹介。企業誘致による雇用創出、サテライトオフィス事業、小規模校を残すまちづくり、いせん寺子屋(塾)、都心の中高年層のIターンなど離島版CCRC構想なども関心を集めた。
市議側からは、食育の推進や子育て行政施策の実態など質問があった。
北海道大学医学部付属病院元婦長・北海道看護協会理事・保護司など医療・福祉の専門家でもある宮村顧問(76)は「札幌は出生率が低く、保育所の待機児童も多く、女性が働けないなど連鎖が。隣近所のつながりもなく、若い親は子育てが分からず、虐待など諸課題も」。同町視察を通じ「地域で、みんなで育て合える人間の幸せとは何なのかを考えさせられた。子育ての施策はやや似ているが、やっぱり人だと思った。豊かに育って豊かな心を持ち1人ひとりが立派。自然や人々を愛し、豊かに成長をしていると感じた」など感想を語った。
子育て支援の拠点ともなっている同町「ほーらい館」などを現地視察も行った。