パッションフルーツ市況

地元市場に入荷しているパッションフルーツ。量が増えても高値で取引されている

量増えても価格上昇
平均単価千円超「品質重視で流通に」

 ハウスで栽培されているため品質の良さなどからパッションフルーツが地元市場で高値取引されている。奄美市名瀬にある名瀬中央青果㈱(森山直樹社長)には今月に入り入荷が本格化、休市翌日の21日には最多の1㌧以上の入荷があった。量が増えても価格が上昇、平均単価(キロ当たり)は千円を超えた。贈答用などとして引き合いがあるが、奄美産の信頼を高めていくためにも「インターネット販売を含めて品質のいいものを流通に乗せるべき」との指摘がある。

 同青果の取り扱いによると、今年の入荷は6月に入ってからと遅めで、1日は293㌔・平均単価870円だった。9日には745㌔と日量は順調に増加、中旬の16日で平均単価は995円と千円近くまで上昇した。入荷量が1㌧超となった21日の平均単価は1155円で、量が増えても高値に。昨年の6月の平均単価は940円だった。

 地元市場で取り扱われているパッションは、瀬戸内町、奄美市笠利町、同市名瀬・小湊で生産されているもの。高値が続いていることについて同青果は「ハウスで栽培されたものが持ち込まれているため果実の外観がきれいで品質の良さを示している。この時期の果物ではスモモも入荷しているが、すぐに熟してしまうスモモに比べパッションは日持ちすることから販売面で扱いやすいのではないか。注文の多さなど引き合いの強さが高値につながっている」と説明し、高値安定のためにも「現在の品質を維持してほしい」と呼び掛ける。島外向けなどの贈答用では瀬戸内パッションブランド産地協議会が出荷している化粧箱が人気という。

 パッションフルーツの同市場での取り扱いは7月いっぱい続く見通し。同市場から仕入れ販売している業者は「量が増えても値段はなかなか下がらず、生産農家にとって喜ばしい市況となっている。ただ一部の取引で質が落ちるものでも高値で扱っているものがあり、購入する消費者の信頼を損なわないためにも注意したい。特に実際に物を確認することができないネット取引で重要ではないか。品質重視で奄美産を流通させていくことを心掛けていきたい」と語る。高値を維持する姿勢が生産・販売で求められそう。

 なお、皇室献上品で知られる瀬戸内町では品質の分析も行われている。それによると平均糖度17・7度、平均酸度2・85%で、糖と酸のバランスがとれ良好と評価された。