約1カ月ぶりに姿を見せ、テスト飛行を行ったオスプレイ(奄美空港、午後0時40分ごろ)
奄美市笠利町の奄美空港に緊急着陸した米軍の輸送機オスプレイが同空港内に駐機状態となってから約1カ月経った3日、整備を行っていたとされる空港内格納庫から姿を見せ、離陸後10分程度のテスト飛行を2度実施した。本格飛行前の最終的なチェックに入ったと見られる。
駐機中の機体は、沖縄・米軍嘉手納基地所属のCV22オスプレイ。在日米軍の説明によると6月4日午後、訓練飛行中だった同機内で計器警報が鳴ったためパイロットが最寄り空港に着陸を判断したもの。オスプレイの同空港への緊急着陸は3度目。
同機着陸後、米軍輸送機が複数回到着し、隊員や資材を搬送。中旬ごろまでエプロンに駐機していたが、台風6号の接近で日本エアーコミューター(JAC)の専用格納庫に移動。場内に姿を現さず、そのまま整備作業を続けていた。
同日午前、格納庫前で隊員8人があわただしく機体をチェックする様子が確認された。午後0時半ごろ、エプロンに姿を現した同機はプロペラを上にした「垂直離着陸モード」でそのまま滑走路に移動。大きな音をたてながらプロペラを前傾に倒す「転換モード」に移行して浮かび上がり、徐々に速度を上げながら南方向へ飛び去った。
その10分後、空港上空に現われ、「垂直離着陸モード」で滑走路に着陸して格納庫前に。緊急着陸から、久しぶりの飛行は約30分間だった。
同機は午後5時ごろ、2回目のテストを実施したものの、再び空港内で駐機状態となっている。
九州防衛局によると、この日は米軍側からフライトテストの実施、さらに結果次第では当日中にも離陸すると事前連絡があったという。しかし、テストを行った結果など現在の状態は明らかにされておらず、出発見通しについては「いまのところ不明」(同局)。なお県港湾空港課はテスト飛行による航空ダイヤへの影響はなかったとしている。
同空港見送り所でオスプレイの飛行を見入っていた同市名瀬の60代男性は「ずっと(空港に)居続けていたことに驚いた。いつでも利用できると米軍に認識しているのでは」と話した。
奄美ブロック護憲平和フォーラムの関誠之代表は「軍用機が民間施設を長期間利用していることに怒りしかない」と厳しく批判。さらに「日米地位協定を早急な見直しと、住民生活を脅かさないルールを地元行政が率先して取り組んでいない姿勢を問題視したい」と述べた。