夏の味覚当分お預けか

シラヒゲウニ漁は解禁を迎えたが、今年もウニを見かける数が少ないらしく、龍郷町荒波地区の海岸では、ウニ割りする漁業者らの姿は見られなかった=1日、安木屋場海岸

シラヒゲウニ漁解禁「今年もいない」

 奄美群島で1日、夏の味覚であるシラヒゲウニ漁が一斉に解禁(8月30日まで)された。だが、奄美大島の各漁協などに入っている情報によると、数年前から見かける個体数が少なくなり、昨年、今年とほとんど見かけなくなる状況が続いているという。名瀬漁協に昨年、解禁期間中に水揚げされたシラヒゲウニは、1合瓶1本のみ。今年も漁獲が増えるのは厳しい状況となりそうだ。群島民なじみの夏の味覚を味わうことができるようになるには、長い期間かかりそうだ。

 名瀬漁協によると、シラヒゲウニ水揚げ量は、1~2合瓶詰めを合わせて2015年(解禁期間7~9月の3カ月)1537本、16年(7~8月の2カ月)508本で、17年(同)は1合瓶詰め1本のみ。

 奄美大島の各漁協に問い合わせたところ、奄美漁協大和支所は「モズク養殖場で、わずかな数を見かけたという情報はあったが、それ以外はほとんど見られないとの情報が多い」。奄美漁協本所(笠利)は「ほとんど見かけない。例年準備している許可証を兼ねた帽子についての問い合わせもなく、今年は準備しなかった」。笠利地区のモズク養殖業者2人の話では「自分が見た範囲では、養殖場でウニは確認できなかった」「1個も見えなかった」。

 与論町漁協職員の話によると、全面禁漁にして10年以上になる。2カ月の解禁時期を設けた年もあった。「漁業者からウニをちらほら見るという情報もあったが、漁業できるほどの数ではない」。

 奄美市の鮮魚店主は「昨年扱ったウニは、1合瓶詰め1本だけ。数年前、多数死んだ稚ウニが海岸に打ち上げられていたという話を聞いた。素潜り漁師の話では、今年もウニは見えないということなので、水揚げは期待していない。原因は何なのかね」と話した。

 シラヒゲウニは共同漁業権の対象。基本的には漁協組合員以外は採捕できない。だが、数が多かった年には、住民要望に応える形で許可証代わりの帽子を販売し、採捕を許可した漁協もあった。

 奄美大島漁業調整委員会指示で、16年から禁止期間を9月1日~翌年6月30日とし、シラヒゲウニを採捕してはならないと規定、解禁期間を7~8月の2カ月に縮めた。殻径(トゲを除いた殻の直径)5・5㌢以下のウニを採捕してはならない、と規定している。