緊急着陸オスプレイ 1ヵ月ぶり奄美空港離れる

1カ月ぶりに奄美空港を離陸したオスプレイ

異例の長期駐機状態にピリオド
「二度とこないで」「安全脅かされる」

 6月4日に奄美市笠利町の奄美空港に緊急着陸していた米軍の輸送機オスプレイが4日、午後4時9分に同空港を離陸した。同機が同空港を離れるのは1カ月ぶりで、異例の長さとなった駐機状態にようやくピリオドが打たれた。九州防衛局によると、行先は横田基地(東京都)と見られる。

 同機は沖縄県米軍嘉手納基地の第353特殊作戦部隊に所属するCV22オスプレイ。在日米軍によると、6月4日の訓練飛行中にシステムの警告灯が点灯し、2機が同空港に緊急着陸した。

 同空港へのオスプレイ着陸は3度目で、4月25日以来。同日6時までに1機は飛び去ったが、1機は空港に留まったままとなっていた。

 同機は着陸後、米軍輸送機が複数回に渡り、隊員や資材などを搬送。日本エアコミューター(JAC)の専用格納庫に移動し整備作業を行っていた。

 また、前日の3日には、久しぶりに滑走路に同機が姿を見せ2度のフライトテストを実施するも、再び駐機状態に。同機は格納庫に収められ同空港を離れることはなかった。

 この日は、午後3時過ぎ、格納庫から出た同機は、プロペラを上にした「垂直離陸モード」で滑走路に移動。プロペラが回り出し米兵らが乗り込むと、そのまま滑走路を走り、ちょうど1カ月となるこの日の午後4時9分に同空港を離陸し飛び去った。

 行き先について九州防衛局は、横田基地と見ている。また同局によると、同時45分ごろ、残りの米兵も宿泊先へ移動し、同空港から全員の米兵が撤収したという。

 オスプレイが飛び立つのを見た奄美市名瀬在住の60代男性は「不安は募るばかりで、せめて(理由などの)広報くらいはきちんとしてほしい。もう二度とこないでほしい」と困惑した様子だった。

 奄美ブロック護憲平和フォーラムの関誠之代表は「トラブル発生以来1カ月になる。整備困難で操縦飛行が難しい飛行機だ。いつ事故が起きてもおかしくない機体が、奄美の空を飛んでいる」と話し、「市議会がオスプレイ飛行訓練中止の意見書を採択している。オスプレイの常態化が進むと、住民の安全が脅かされる」と訴えた。