無残! ネコがケナガネズミ捕殺

天城町「当部林道」で撮影されたネコとケナガネズミ(風戸一亮さん提供)


撮影地点と付近の地図(風戸一亮さん提供)

徳之島で写真初記録
影響長期調査 東京大大学院研究生ら

 【徳之島】徳之島で、ネコによる貴重在来種への影響を長期調査した東京大学大学院修士課程の研究チームが6月22日夜、天城町当部(とうべ)林道に設置した自動撮影カメラで、ネコによる国指定天然記念物ケナガネズミの捕殺シーンを記録していた。同島では昨年1月のアマミクロウサギに相次ぐ初の記録写真に。厳しい現状が関係者にあらためて衝撃波を広げている。

 撮影したのは、東大大学院農学生命科学研究科修士課程1年の風戸一亮(かざとかずあき)さん(22)=千葉県船橋市。森林総合研究所による(独)環境再生保全機構の環境研究総合推進費4―1084事業の採択を受けて6月11日~今月9日まで徳之島に滞在。世界自然遺産登録を目指す1エリアの同島における「外来種としてのネコ問題の研究」。ネコによる貴重在来種への影響を明らかにすることなどが目的。

 風戸さんによると、自動撮影カメラは同町当部―徳之島町母間にかけた林道沿線に約300㍍間隔で計11台セットした。ネコがケナガネズミをくわえて歩く画像が記録されていたのは当部の「南部ダム」から約1・5㌔地点。野生化したノネコか野良ネコなのかなどは現段階では不明だが、同個体は6月27日~今月8日まで毎日、カメラに収まっていたという。

 現場の状況などから風戸さんは「(当部)集落と山が近いため集落から入っている可能性も。ノネコ対策だけではなく、野良ネコ対策の強化も大事。(現状の)TNR(捕獲・不妊去勢手術・元の場所へ)以上の繁殖能力がある」。最終手段が必要との考えも示した。

 期間中にはほか、後ろ足にネコによると見られる咬傷痕のあるアマミノクロウサギ1匹と、死因不明のトクノシマトゲネズミ1匹の死骸もそれぞれ確認。

 カメラは徳之島町北部の林道「山クビリ線」に計31台を設置しており、画像の解析はこれからという。

 当部集落在住の徳之島自然保護推進員(同推進協議会前会長)の松村博光さん(71)は「集落内での飼いネコはゼロと確認済み。集落外からの侵入や捨て猫も考えられる。ノネコ対策は、環境省任せではなく3町行政も一体となってより強化すべきだ」と話した。