「メランジュ」岩層群

成尾氏を講師にあった「メランジュ」岩層群の観察会=14日、徳之島町金見海岸

生物多様性の土台も知って
徳之島町金見

 【徳之島】琉球石灰岩から古生層にいたる多様な「地質標本の島」とも評される徳之島。その東北端の徳之島町金見海岸(奄美群島国立公園・第3種特別地域)で14日、地質学の専門家を講師に招いた「メランジュ」岩層群などの観察会があった。町文化財保護審議委員や一般住民など約20人が参加。世界自然遺産登録候補の島の生物多様性を育む〝土台〟の多様性にも知識を深めた。

 同町文化財保護審議委員の1人・重久勇さん(63)が町内11か所の「メランジュ」関連の分布状況を調査。天然記念物オカヤドカリの繁殖地としても知られ、同岩石群の散在規模が最も大きい金見海岸の町文化財指定も個人的に推奨。徳之島ユネスコ協会(安田司会長)が「その存在を多くの人に」と呼応し、活動の一環で見学会を主催した。

 講師に招へいされたのは、元県立博物館学芸主事で理学博士の成尾英仁氏(67)=日置市在住、日本地質学会・日本地震学会会員、現在・伊集院高教諭=。徳之島高にも勤務経験があり、同島の地質図にも造けいが深い第一人者だ。

 メランジュは、泥岩などの気質中に様々な大きさ、種類の異地性・準原地性の岩塊が含まれる岩塊。国内では西南日本外帯の秩父帯や四万十帯との関連が挙げられる。伊仙町犬田布海岸では「メランジ堆積物」として県天然記念物に指定(2009年4月)されている。

 成尾氏は「約1億年前、海溝に土砂が溜まって積り、プレートの付加体が下に潜って持ち上げ、土石流のように崩れて混ざったのがメランジュ」などと分かりやすく解説。「生物の多様性を考える上で、地質学の多様性も知って欲しい」。金見海岸については「花こう岩を含め、地層的にいろんなものが堆積。子どもたちの学習の場にも向いている。町文化財指定は、景勝地を守る分には良いのでは」とも語った。