またクロウサギ輪禍

クロウサギ輪禍が今年半ばで過去最多の計10件に(写真・池村茂さん)=19日朝、徳之島町母間の農道

徳之島町母間の農道
今年半ばで10匹、過去最多に

 【徳之島】19日朝、徳之島町母間の農道で、交通事故死したとみられるアマミノクロウサギ1匹の死骸が見つかった。環境省徳之島自然保護官事務所によると、同島ではノネコ対策が奏功したのかクロウサギの出没範囲、目撃数ともここ数年増加。一方では交通事故による滅失事例も増え、今年はこれで10件(匹)目。早くも過去最多の2016年、17年中の各8件を超え〝危機的〟状況にある。

 同日午前5時10分ごろ、農作業に向かっていた住民が死骸を発見。連絡を受けたNPO法人徳之島虹の会の行山武久さんと池村茂さんらが現場を確認。あごから胸部にかけて車に衝突され強打したか、轢(ひ)かれたような傷があった。18日夜から19日未明にかけて交通事故に遭ったとみている。

 同農道付近はクロウサギの出没多発区間として知られる。15年12月には輪禍に遭って重傷を負ったとみられる個体(通称・ボマちゃん)が保護され、最終的に鹿児島市の平川動物公園で療養した例も。

 徳之島事務所の沢登良馬自然保護官(27)は「クロウサギの目撃例が増えている一方、ロードキル(交通事故)も増えて危機感を持っている。ドライバーに注意を呼び掛ける看板の設置やチラシの配布、有線テレビ網(天城町)などで啓発しているがまだまだ強化が必要」。クロウサギなど希少野生生物の路上出没頻度の高い区間、特に夜間の通行時は、「基本的にいつでも止まれる速度。時速20㌔以下でゆっくりと走って欲しい」と強調した。