【4回戦・鹿児島南│大島】2回表二死二三塁、9番・求が中前適時打を放つ=鴨池市民
【鹿児島】第100回全国高校野球選手権記念鹿児島大会第12日は19日、鹿児島市の県立鴨池、鴨池市民の両球場で4回戦4試合があった。
奄美勢は大島が鹿児島南と対戦。2点を先制したが中盤打ち込まれ、4─10で敗れた。今大会の奄美勢は全チームが姿を消した。
第13日は20日、両球場で4回戦4試合がある。
ベンチ入り20人中19人をつぎ込んでの総力戦だった。鹿児島南の強打を抑えきれず、2年連続の8強入りは果たせなかったが「選手たちはよくやってくれた」と塗木哲哉監督は健闘をたたえていた。
一回裏のピンチをしのぎ、直後の二回表に畳みかけ先制点を挙げた。だが三─五回と集中打を浴び、逆転され点差が開いた。このチームの勝ちパターンである「失点2点以内、得点7点以上」(求太朗主将)の展開に持ち込めなかった。
苦しい展開の中、塗木監督は早目の選手交代で事態の打開を図る。「2桁の選手は流れを変えるのが仕事」という明確な意図があった。七回に途中から一塁の守備に入った1番・手蓑が左前適時打を放ち、点差を3点に縮め、終盤勝負の流れを作りかけたが、鹿南の強力打線を最後まで抑えきれなかった。
昨夏8強入りした先輩たちからチームを引き継いだ際には、公式戦の経験者がほとんどいなくてなかなか勝てなかったが「夏に勝てるチーム」(求主将)を目指して1年間取り組んできた。県大会で8強以上の成績は残せなかったが、強打で打ち勝つ野球は過去の先輩たちとも一味違うカラーを確立できた。
塗木監督は「みんなのことを考えてプレーができ、どんな場面でも落ち着いて野球ができるようになった」ところに成長を感じた。求主将は「このチームを経験した下級生も多いので、次の代に頑張って欲しい」と果たせなかった甲子園への夢を託していた。
(政純一郎)
ピンチの場面になると塗木哲哉監督から声が掛かる。九回までに3回使える守備の伝令役だ。「彼が行くとピンチが収まるんです」と塗木監督。的確なアドバイスと雰囲気を盛り上げ「ピンチをチャンスに変える」大事な役目を担っていた。
初回二死満塁の場面では「まだ初回、必ず取り返せるから伸び伸びやろう!」と声を掛けたら、見逃し三振でピンチを切り抜け、直後に先制できた。四回裏、相手の4番に長打を打たれ、泊から赤崎にスイッチした直後は赤崎に「行けるか?」と尋ねリラックスさせた。5番を右飛に打ち取って連続失点を食い止めた。
九回は一死から代打。初めて夏の打席に立った。「何が何でも塁に出たかった」とボテボテの二ゴロだったが大きく跳ねた分、頭から滑り込んで内野安打になった。「バッテリーが警戒していなかった」と二盗も決めた。点差は6点あったが、最後まで状況を冷静に見極め、チームの勝利のために自分にできる最善を尽くした。
昨秋、今春、NHK旗と過去の先輩たちが続けてきたベスト8以上の結果を残せなかった。最後の夏に昨夏の8強、更には準決勝で昨夏苦杯を味わった樟南・松本と再戦することを目指していたが叶わなかった。それでも「結果は出なかったけれども、自分たちらしい野球をやり切ることができた」ことは胸を張って言えることだった。
(政純一郎)