故・中村氏遺作「徳之島の自然写真展」

徳之島町立図書館で始まった「故・中村正弘氏遺作『徳之島の自然写真展』」(20日)

生涯懸けて追求
徳之島町立図書館でスタート

 【徳之島】徳之島町立図書館(里光和恵館長)企画の徳之島町制60周年記念企画事業「世界自然遺産登録に向けて―故・中村正弘氏遺作『徳之島の自然写真展』」が、20日から同館ロビーで始まった。中村氏がライフワークとして生涯を懸けてカメラで追求、保護訴え続けた同島の希少動植物の写真データの中から約90点を展示中。9月23日まで。

 

 出身地の同町花徳で歯科医院を開業していた中村氏(2014年3月11日死去、享年65歳)。多忙な歯科医の傍ら、「本土の皆さんに島を忘れて欲しくない。島の人々には希少動植物など残された自然の価値にも気づき、島ぐるみで守って欲しい」と私設ホームページ「徳之島万華鏡」の運営にも情熱を傾注した。

 ハブや断崖・斜面など危険と隣り合わせの深山に分け入っての撮影活動。一時期、憧れた「戦場カメラマン」そのものだった。天然記念物・徳之島固有種・絶滅危惧種などの膨大な画像データを蓄積し、中には3年間探し求めた固有植物も。自ら会員だった徳之島地区自然保護協会発行の啓発パンフレットの資料写真のほぼ全てに協力している。

 生涯をかけた画像データと版権はこのほど、ご遺族の希望で徳之島町当局に寄託された。今回の遺作展は、同寄託も機に「希少動植物の保護・啓発にも貢献した故中村氏の写真家としての活動に敬意を表するとともに、あらためて徳之島の貴重な自然の価値を町民に知ってもらい、保護意識を高めてもらおう」(同図書館)との願いを込めた。

 期間中の観覧時間は▽平日=午前8時30分~午後6時30分▽土・日曜、祝日=午前8時30分~午後5時まで。