嘉渡・連続火災から1週間

焼け跡が残る龍郷町嘉渡集落。実況見分が終了したが火元や出火原因は特定されなかった

実況見分終了 「放火可能性大」
龍郷町「がれき撤去など迅速に」

 龍郷町嘉渡集落(99世帯、175人)で、空き家・住家計9棟を全焼した2件の火災のうち、17日未明に発生した火災から24日で1週間が経った。奄美署と大島地区消防組合は23日までに実況見分を終了したが、2件の火災とも火元や出火原因は特定できなかったという。奄美署は「状況からみて放火の可能性が高いが、出火・放火の両面からの捜査を進めている」としている。

 同集落の焼け跡では23日も散乱するがれきの中、警察・消防などによる実況見分が行われていた。同集落の得田要一区長は「いつまで続くかわからない状態なので、捜査は専門家に任せるべき」と、壮年団を中心に集落住民が行っていた巡回を終了する方針を語った。

 また、被災した全世帯の住民は親類の家に身を寄せるなどしたが、住民の中には不安による不眠や食欲不振を訴える人もいるという。得田区長は「町保健福祉課に相談に乗ってもらうよう依頼した」。同課は「見守りを強化し、心身のケアを行う方針」としている。

 実況見分から火元や出火原因が特定できなかったことに対し、同組合龍郷消防分署の嘉尚文分署長は「2件とも不審火として扱っており、不安がっている人が相当いる。放火であればとても許されることではなく、心を痛めている」。また、奄美署の上園修一副署長は「これ以上起こらないよう警戒している。犯人がいるなら1日でも早く逮捕し、地域の人が安心して生活できるようにしたい」と語った。同署は今後も周辺の実況見分結果の鑑定や周辺の捜査を進めるとしている。

 実況見分終了に伴い、がれき撤去なども今後進んでいくことが見込まれる。23日現在、被災者の保険加入状況の確認などを得田区長らが中心となって行っている。また、龍郷町建友会ががれき撤去作業のボランティアに名乗りを上げているという。町総務課は「日程や費用に関しては検討中。住民の負担を減らす形で、迅速に行いたい」と話した。