林道「山クビリ線」利用適正化原案を検討した今年度第1回徳之島利用適正化連絡会議=26日、同町役場
【徳之島】世界自然遺産登録と観光客増を見据え、自然環境の保全と質の高い自然体験の提供などを協議する2018年度第1回徳之島利用適正化連絡会議(県主催)が26日、徳之島町役場であった。同町北部の林道「山クビリ線」(約12㌔)の利用適正化へ、認定ガイド利用ルールの実施など来年4~7月を「試行」期間を置き、同7月以降にゲート施錠で「本格実施」。利用ルール含む県側原案に合意した。
昨年12月の17年度第1回同島連絡会議では、山クビリ線管理者(町)によるゲート施錠を含め、一定のルール下での持続的利用が望ましいなど県側がたたき台を提示していた。地元の官民双方の意見を基に同連絡会議構成員の変更、適正化利用の進め方、利用ルールの各素案を練っていた。
関係機関・団体・地域の代表ら約30人が出席。県自然保護課の栗栖隆典主幹は冒頭、IUCNの世界自然遺産登録延期の勧告、再推薦への取り組みなど経緯にもふれ「早期登録に向け、山クビリ線の『適切な観光管理の実施』について関係機関・団体で進めたい」と改めて協力を求めた。
原案の連絡会議構成員は、住民(上花徳など5集落・山共有林組合1)や民間(エコツアーガイド連絡協など6団体)、国(環境省・林野庁出先)、県、3町関係課で構成。同線利用適正化の検討の進め方では、台風の土砂崩れ(通行止め2地点)の復旧期間も勘案。①試行(第1段階)=来年4~6月ごろ認定ガイド利用ルールを施行、改善点を探る②試行(第2段階)=同6、7月ごろ申請手続きなどを実施、改善点を探る③本格実施=同7月ごろ以降にゲート施錠、広報・周知も始める。
利用ルール案では申請不要の場合の「土地所有者(5集落・1組合)」や行政機関の自然環境保全など。許可主体は林道管理者(町農林水産課)。認定ガイドへの許可期間は最長1年。認定ガイド1人につき車両1台まで案内できる―などとする原案全てに合意した。
質疑では「共同林など所有者の権利を奪うのは良くない」、「土砂崩れ防止の事前対策。観光利用上の安全対策を」、「クロウサギによるキビ新芽など食害補償制度化も必要」、「ビジターセンターの建設を」など意見・要望もあった