北高・聞き書きサークル

大島北高の「聞き書きサークル活動」があり、集落の高齢者に体験談などを聞いた

残したい伝統文化など質問
地元見つめなおす取り組み継承

 地域の高齢者などに話を聞いたりしながら、地元を見つめなおす取り組みとして、県立大島北高校(新山剛校長)=奄美市笠利町=で行われている「聞き書きサークル活動」が2日あった。同日は町内4地区を訪れ、話し手からそのシマの昔の生活や、これからも残していきたい伝統文化などについて聞いた。今後、校外向けに活動について発表したり、活動をまとめた冊子を製作する予定もあるという。

 同サークル活動は、同校OBで考古学者の故・中山清美氏が発足させ、生徒らを指導しながら行ってきた活動で、聞き書き調査を通し自分たちの住む足元の宝などを生かす地元学の一環として始まり、今年で5年目を迎えた。

 活動では生徒7人と教職員が班に分かれ、外金久、万屋、屋仁などをグループごとに訪れた。地域に住む高齢者に▽小さい頃の思い出の味・懐かしい味▽一番つらかったこと・苦しかったこと▽シマで暮らし伝え残したいもの―など数項目を質問した。

 同校2年の廣せりあさんと碇山春佳さん(1年)は、万屋集落に住む白内玖美子さん(85)を訪問。白内さんは小学生時の戦争体験を紹介し、空爆で校舎を失い、神社で行われた卒業式のエピソードなどを回想し、「戦争ほど怖いものはなかった。皆さんは本当に幸せな時代を生きている」などと語った。

 残していきたいものに集落行事を挙げ、「八月踊りなど集落のみんなで楽しくやってきた。地域の人が参加して楽しくやることが一番」。また、白内さんが昔から作ってきたという、米や黒糖などを材料に団子、小豆なども入った「モンダン」が振る舞われ、シマの伝統料理にも触れた。

 ICレコーダーに録音し、熱心にメモ書きなどする2人に、白内さんは「シマの色々なことを知ってもらいたい。将来は北高の生徒に奄美、地域を守ってもらえたら」と願っていた。

 聞き書きは3日もあり、今後生徒の声や写真などを含め映像化し、発表資料としてまとめるほか、冊子も製作する予定という。