瀬戸内町近代化遺産

社会科部会の教職員を前に、白糖石を解説する県立埋蔵文化財センターの藤島さん(31日、瀬戸内町久慈)

事業成果活用した授業を
県埋文センター職員が普及啓発

 県立埋蔵文化財センターは先月31日と今月1日にかけ、瀬戸内町内で同町の教職員に近代化遺産などの普及啓発を実施した。同センターが発掘調査した遺跡や関連史跡を回るフィールドワークや、職員研修で同町の近代化遺産の見識を深めた。

 同センターは昨年6月に久慈白糖工場跡の発掘調査を実施し、今年3月に調査報告書を刊行。文化庁による「発掘された日本列島2018新発見考古速報」展に、同遺跡から出土した耐火レンガや赤レンガなどの遺物が出展されて全国を巡回しているという。

 センターから調査課の宗岡克英第二調査係長と藤島伸一郎文化財研究員が同町を訪問。「かごしま近代化遺産調査事業」により、発掘調査の成果を地域に還元する目的で実施。31日は教職員の社会科部会対象にフィールドワーク、1日は古仁屋中学校で同校の職員約25人を対象に研修会で近代化遺産「久慈白糖工場跡」の講話を行った。

 フィールドワークとしてバスで久慈の白糖工場跡を訪れた社会科部会一行を前に、藤島さんがパネルや出土した耐火レンガなどを用いて解説。「奄美大島に設置された4カ所の白糖工場の中で最大規模の施設だった。煙突は7本あり、うち一つは36㍍の高さで隣村からも見えたと伝わっている」。

 一行は発掘調査地点や、付近で工場に使われていたとされる「白糖石」(加工された凝灰岩)を転用している様子を見学した。参加した阿木名中学校の鷲見加代さんは、「図面など記録がない遺跡を、発掘調査でよく見つけられた。白糖工場跡がよく分かった。今回の成果を授業に生かしたい」と感想を話した。

 その後、同集落内の赤レンガ造りの水溜跡や、手安の弾薬庫跡などを視察。センターは今後も久慈白糖工場跡の普及啓発に注力する。センター職員が出向いて、奄美市などで出土品を活用した授業支援を実施する予定。