和光園親子訪問

和光園親子訪問

親子療養所訪問事業があり、参加者は入所者の体験などを聞いた

ハンセン病問題理解深める
施設見学や入所者と交流

 県くらし保健福祉部健康増進課は9日、奄美市名瀬の国立療養所「奄美和光園」(加納達雄園長)で2018年度親子療養所訪問事業を行った。参加者は同園入所者との交流などを通し、ハンセン病問題について理解を深めた。

 同企画は入所者の体験談を聞くことで、偏見・差別のない社会の大切さや生き方を学ぶ機会として、2002年から県が実施するもの。今回は島内外から5組の親子と教師計12人が参加。納骨堂への献花など施設見学を行った。

 入所者との交流前に加納園長は、「入所者が高齢となり、昔のことを聞くのが難しくなってきた。実体験として聞くことができるので色々なことを質問してほしい。知らないところで犠牲になっている人がいるのかもしれないという意識を持つきっかけになれば」と呼び掛けた。

 入所者との交流会では、参加者がグループに分かれ2人の入所者と懇談。入所者の70代女性は発症後、病状の悪化により高校を中退した過去や、多くの病院に訪ねたことを紹介。施設での生活や、当時の暮らしぶりなどの話を子どもたちは真剣な面持ちで聞き入った。

 この日参加した名瀬小学校5年の進ミシェルさん(10)は「事前に勉強してきたことよりも詳しい話を聞くことができた。これからも機会があれば学び続けたい」と話した。

 奄美和光園は1943年開設。ピーク時約360人いた入所者は24人(男7人、女17人)と、全国13カ所ある国立ハンセン病療養所の中でも最も少ない。入所者の平均年齢は85・7歳。