17年産サトウキビ共済

奄美計は1972万円
収量落込みなく糖度低下
支払額9割近くは種子島

 

加入率、島別の差顕著

県農業共済組合連合会(NOSAI連鹿児島)は15日、2017年産サトウキビ共済の支払共済金を発表した。全体支払共済金は1億4869万5千円で、このうち86・73%と9割近くは収量・糖度とも大きく低下した種子島への支払い。奄美の計は1972万5千円で、糖度は下がったものの収量の落ち込みはなかったことから、豊作で支払いがなかった16年産以前の15年産(3839万6千円)より減少した。

キビ共済は平年収量との比較で2割以上の減収となったときに共済金が支払われる。被害率20%以内なら共済の対象にならない。農家負担掛金に対する支払倍率は全体で1・2%となり、15年産(3・4%)より低下している。支払対象農家は1012戸で、加入農家の24・6%となった。NOSAI連によると、17年産キビ共済の支払共済金が確定し、熊毛・大島・南大島の各NOSAI(農業共済組合等)を通じて8月上旬に支払われた。

同年産のキビは、全体の生産量は52万8053㌧(平年値比2%増、前年比17%減)、10㌃当たり単収5346㌔(平年値比4%増、前年比16%減)、平均糖度12・39度(平年値比1・27度低下、前年比1・59度低下)。地域別では種子島が生産量約11万7千㌧、単収5088㌔、平均糖度11・02度となり、いずれも平年値、前年比を下回った。「旺盛な生育時期である8月の台風が特に深刻な被害となり、病気も発生し収量、糖度とも大きく低下した」。

奄美の方は生産量約41万1千㌧、単収5425㌔、平均糖度12・78度。平年値で比較した場合、奄美は216㌔(4・2%)増えており、収量の落ち込みはない。ただし10月の台風被害で糖度上昇が阻害された関係で、糖度の平年値(13・99度)を1・21度下回った。

台風被害(5号、18号、21号、22号)以外では、獣害(イノシシ・シカ)、虫害(メイチュウ、アオドウガネ)などもあった。

支払共済金に占める割合は9割近くに及んだ種子島に対し、奄美は13・27%にとどまった。

自然災害や病害虫、鳥獣害などで共済金が支払われ、生産農家の損害が補てんされるのが共済制度。今年は台風発生が相次いでいるが、こうした自然災害は予測できないだけに、共済に加入することで農業経営の安定や農業生産能力の発展に役立つ。NOSAⅠ連は「万一の災害に備えてキビ栽培農家は共済に加入してほしい。また、来年1月からは全ての農産物を対象に収入減少を補てんする収入保険が始まる。さまざまなリスクから農業経営を守るだけに、ぜひ加入を」と呼び掛けている。収入保険は青色申告を行っている農業経営者が対象で、個人分の場合、加入申請手続は今年10~11月に行われる。

なお、サトウキビ共済の県合計加入率は57・8%。島別でみると種子島90・5%、奄美大島21・7%、喜界島13・2%、徳之島48・9%、沖永良部島81・4%、与論島62・9%。最高は種子島、最低は喜界島で、加入率の差が顕著となっている。