保護のウミガメ放流

大勢の来館者や職員が見守る中、海に放流されたアカウミガメ(提供写真)

「元気に育って戻ってきて」
海洋展示館、大浜海岸に

奄美市名瀬の大浜海浜公園内にある奄美海洋展示館は15日、同館で保護・飼育していたアカウミガメ2頭を大浜海岸に放流した。同館職員の有馬ほずみさん(45)は「寂しい気持ちもあるが、元気に育って奄美に帰ってきてほしい」と胸の内を語った。

同館では、同海岸でふ化し海に戻ることができなかったり、迷ってしまったりしたウミガメを保護・飼育している。海の自然に触れるきっかけになればという思いで、エサやり体験なども行っており、観光客から人気を博している。

放流されたウミガメは2頭ともアカウミガメ。2016年8月11日に同海岸で保護された体長32㌢体重5・61㌔の個体と、同月20日に朝仁海岸で保護された体長32㌢、体重5・31㌔の個体。奄美海洋生物研究会の協力で、前足に日本ウミガメ協議会指定の標識も取り付けられ、再発見の際は同館に報告されるという。

保護された当時は2匹とも体長7㌢、体重20~22㌘程度だったという。同月中にはもう1頭保護されていたが前足の動きなどに不安があるとして放流は見送られた。

この日、放流は午前10時半ごろに行われた。来館者らも見学し、2頭の様子を見守った。砂浜に放された2頭は、海にたどり着くまで迷うなどしたが、波打ち際からはすぐに泳いで行ったという。

ウミガメに詳しい同研究会の興克樹会長によると、アカウミガメはふ化後すぐ海流に乗って太平洋対岸のカリフォルニアやメキシコへ移動。移動しながら育ち、30歳程度で産卵。産卵時には生まれた海岸やその地域に戻るとも言われているという。