鹿大、奄美市のTNR協力

市街地の公園に集まる野良猫(資料写真)

 

獣医師など派遣、野良猫に不妊手術
包括連携協定基づき6回計画

 鹿児島大学は今月から、奄美市との包括連携協定に基づき同市が実施している野良猫TNR事業に協力を開始する。同大から共同獣医学部の獣医師などを同市に派遣。市が捕獲した野良猫に不妊手術を施し放して増殖を抑制し、ノネコの発生源にならないよう取り組む方針だ。

 奄美大島の山中ではノネコ(野生化した猫)が、固有種や希少種などを捕食する問題が起きている。島内5市町村はノネコの発生源対策として、野良猫に不妊手術を行うTNR事業を実施。2017年度末までに、累計2382匹に施術している。

 奄美大島では猫がネズミ対策としてこれまで放し飼いにされてきており、集落などでは野良猫が増加。地形が山と集落が近いために、野良猫が森林内に入り野生生物を襲い一部が野生化してノネコとなることが懸念されている。

 奄美大島の山中には、推定600~1200匹のノネコがいるとされ、環境省と県、5市町村などはノネコ管理計画を策定し7月から捕獲作業を開始。またノネコの発生源や供給源になり得る野良猫は、数千~1万匹ほどいるとされ、不妊手術や飼い猫の適正飼養などの徹底が求められている。

 同市と鹿大の包括連携協定は、06年3月13日に締結したもの。同協定に基づいて、同学部の獣医師2人と看護師1人を派遣し捕獲された野良猫に不妊手術を実施する。

 手術には奄美ノネコセンターを利用し、2日間で30匹ほど施術する。同大は来年3月までに6回の派遣を計画し、今月18、19日から同市に獣医師などを送り出し、TNR協力をスタートさせる。

 同市環境対策課の平田博行課長は、地元獣医師の負担軽減などが期待されると歓迎。「鹿児島大学の協力で、TNR事業を推し進めたい。事業の効果を上げ、事業効果の検証を通して、しっかりと取り組んで行きたい」と話した。