宇検村で対馬丸平和学習交流

宇検村で対馬丸平和学習交流

戦争が起こるまでのプロセスを理解するワークショップ

現地を訪れて慰霊碑の前で記念撮影する沖縄と宇検村の参加者たち

戦争の悲惨さ伝えたい
沖縄から児童生徒など30人

 沖縄県平和援護・男女参画課は17日から、宇検村で第1回対馬丸平和学習交流事業(2泊3日)を実施している。沖縄から小中学生と保護者など約40人が同村を訪問。参加者は学習プログラムを通して、対馬丸事件の歴史や戦争の悲惨さ、平和の大切さなどの理解を深め、沖縄と宇検村の児童生徒の交流も図られた。

 沖縄県は、太平洋戦争の沖縄戦の歴史を正しく継承していく目的で、小中学生を対象とした研修を実施。昨年3月に宇検村船越=ふのし=海岸に事件の犠牲者の鎮魂を願う慰霊碑が建立されたことから、沖縄から同村を訪ねて事件の歴史など学び、同村の小中学生と交流する平和学習交流事業を企画。募集枠を大幅に上回る応募があり、抽選された小中学生17人と保護者13人が事業に参加した。

 一行は17日に、空路で奄美入りし夕方に同村湯湾の宿泊先に到着。18日は同村の小中学生32人も合流。午前中に同村生涯学習センター元気の出る館で平和を学ぶワークショップを行い、午後からは船越海岸に移動して、対馬丸慰霊碑とフノシ浜を実際に見てフィールドワークに取り組んだ。

 児童生徒の参加者は、11グループに分かれ活動。アイスブレイクで緊張を解き、8枚のカードを用いた「戦争のプロセス」で戦前の雰囲気を体感した。

 フノシ浜では、㈱がちゆん研修プログラム講師の平仲稚菜さんが、海岸部に事件の生存者や犠牲者が流れ着いた凄惨な状況など解説。参加者は、枝手久島に漂着して生き延びた平良啓子さんの体験談を読み合わせた。

 慰霊碑の前では、沖縄国際大学1年の宮城慎梧さん(18)が事件の概要など説明した。

 沖縄県南城市の馬天小5年の當山浩太郎くん(10)は、「対馬丸事件を詳しく知る目的で参加。現地に来てきれいな海が肉の海と化したということが信じられない。事件のことや戦争の悲惨さを次の世代に引き継いでいきたい」と話した。
 宇検村久志小中学校の小学5年・脇田琉輝也くん(11)は、「沖縄の人たちとも仲良くなれた。対馬丸のことが詳しく知れた。戦争が起こらないよう取り組んでいきたい」と振り返った。