台風一過 奄美地方北部に爪痕

強風によりトタン屋根が飛び、木材がむき出しになった住家(22日午前8時半ごろ、奄美市笠利町辺留)

4人が軽傷 住家被害も多数
奄美大島喜界島4900戸で停電続く

 非常に強い台風19号は21日午後から22日未明にかけて奄美地方北部を暴風域に巻き込みながら接近した。人的被害、住家被害などさまざまな被害が発生し、大きな爪痕を残した。台風が過ぎ去った22日、各市町村は調査を開始し、被害が明らかになってきた。

 大島地区消防組合によると、台風接近による人的被害は3人。21日夕方、奄美市名瀬朝日町のコンビニエンスストアで窓ガラスが割れ、客の30代女性と店員の40代女性の2人が軽傷を負った。22日未明には同市名瀬永田町の路上で帰宅中の30代男性が風にあおられ転倒し、あごを切るなどした。このほかに宇検村では70代男性が、風により飛んできた太陽光パネルにあたり、顔などに軽いけがを負うなどした。

 各地で住宅への被害もあった。同日午後4時半現在、一部損壊87棟(喜界町14棟、龍郷町49棟、大和村14棟、宇検村10棟)、床下浸水1棟(大和村)が確認されている。

 非住家では、倉庫やブロック塀などの構造物の損壊が相次ぎ、徳之島町では崖崩れによる落石で倉庫1棟が全壊。喜界町では牛舎が半壊するなどの被害もあった。奄美市と瀬戸内町は同日同時現在も、調査中のため、被害棟数などを未集計としており、23日以降にまとめる予定という。

 大雨や風により、農業にも影響が出た。喜界町では8月初旬から主要農産物の白ゴマが収穫期を迎えており、収穫直前のゴマに被害があった。同町は「折損や塩害が発生している。町内の被害を調査しており、23日以降も継続する」としている。龍郷町でもビニールハウス14棟で被害が発生したという。

 大島地区消防組合によると、台風接近にともなう住家一部損壊などでの出動件数は21日午後0時半ごろ
から22日午前11時半ごろまでに57件。このうち、同市名瀬での出動は47件だった。各地で消防署員が民家や店舗の処置にあたる姿が見られたが、同組合担当者は「できる限りの応急処置はするが、事前に準備しておいてほしい」と呼び掛けている。

 広い範囲で停電も発生。ピークとなった21日午後11時から22日午前2時ごろには奄美大島と喜界島で1万8千戸以上が停電。22日午後6時現在も両島で、4900戸で停電が続いている。大和村では総戸数の8割以上で停電となっており、同社は「設備被害状況の確認ができた地域から対応を検討し、順次復旧中」としている。