発生源となる可能性

収穫することなく放置されたグアバ。ミカンコミバエの発生源となるおそれがある

熟したグアバ放置、「適正管理を」
ミカンコミバエ

 果実や果菜類の害虫・ミカンコミバエが特に好む「好適寄主植物」の一つにグアバがある。奄美では「バンジロウ」で親しまれており、庭木としても植栽され、昔はおやつ代わりに食されてきた。果実が熟するのは秋口だが、大玉果など品種によっては既に収穫期に入り地元市場にも出回っている。一方で熟しても収穫せず、落果したものがそのまま放置されたものもあり、関係機関はミカンコミバエ発生源になる可能性があるとして、適正な管理を求めている。

 農林水産省植物防疫所がホームページで公開しているミカンコミバエ種群の誘殺状況(今年4月以降の2018年度)によると、鹿児島県では今月20日現在7匹(鹿児島郡十島村・悪石島1匹、瀬戸内町2匹、天城町・伊仙町・徳之島町・和泊町で1匹ずつ)確認されている。週別で、奄美では6月5~11日に4匹と相次ぎ、同12~18日の週にも2匹と複数の誘殺があったが、その後はゼロが続いている。県全体でみても7月17~23日の週に悪石島で1匹誘殺された以外は、8月14~20日の週までゼロが続いている。

 台湾など周辺の発生国に近く、毎年、侵入警戒対策が実施されている沖縄県の誘殺状況をみると、18年度(今月20日現在)は4匹確認。八重山郡与那国町と宮古郡多良間村で2匹ずつ。沖縄県では7月24~30日の週以降、新たな誘殺はない。

 これまでの誘殺はいずれの地域も連続ではなく散発的な誘殺のため、主に風に起因する飛来による「飛び込み」の可能性がある。発生・定着ではない飛び込みでも警戒は欠かせない。大量に飛来すると、オスとメスの交尾により世代交代(発生)につながるため。寄主植物の移動規制(島外出荷禁止)が行われた緊急防除(15年12月~16年7月)時は、15年の9月中旬以降に誘殺数が急増。グアバの果実の中に幼虫がいる寄生果の確認が示すように、熟したグアバへのミカンコミバエ飛来が誘殺増を招いたとみられている。

 関係機関は「発生国からの飛来による誘殺のリスクは、奄美も発生国に近いことから『常にある』と捉えて警戒しなければならない。そのための対策では寄主植物の適正な管理も必要。グアバは好適寄主植物だけに、熟した果実が収穫されず、そのまま放置されるとミカンコミバエの発生源になってしまう。庭木などとしてグアバを所有している場合、十分に関心を持って対応してほしい」と呼び掛ける。

 地面などに落ちた果実の処理方法では、穴を掘って埋める方法のほか、通常の燃えるごみとして指定袋で回収できる。

 なお、地元市場の名瀬中央青果㈱には今月に入り大玉品種のグアバが入荷。一度で100㌔持ち込まれた日もあり、当初はキロ当たり600~700円の高値を付けたという。本土への贈答用として引き合いがあるだけに、適正な栽培管理で収穫・出荷すれば、収益が見込める。