「個の記憶、土地の記憶」 井之川(徳之島町)が主舞台

徳之島が舞台の短編映画4作品を披露した武蔵野大学(メディア制作・表現ゼミ)の学生たち(左側)=23日夜、徳之島町井之川

武蔵野大ゼミ生ら短編映画上映会
地元関係者に感謝込め披露

 【徳之島】武蔵野大学(本部・東京都)は、徳之島町と連携した長期フィールド・スタディーズ(長期学修)の「徳之島プロジェクト」を推進して4年目。同大メディア制作・表現ゼミの学生たちが制作した短編映画4作品の上映会が23日夜、主舞台となった同町井之川であった。出演者や住民など地元関係者に感謝を込めて披露し感動させた。

 同プロジェクトは産学連携教育による人材育成と、連携ゼミの長期インターン教育課程の一環などで2015年度に覚書を交わした。農業や観光分野など職業体験に加えて、17年度はメディア制作・表現ゼミの2~4年生6人が初参加。学生ら個々の「個の記憶、土地の記憶」を基本テーマに井之川集落を主舞台とし、出演者も地元の小中高生を含む住民らを起用。東京に帰って1年越しで編集・制作した。

 上映会は井之川集落にある町施設「みらい創りラボ」であり、出演者や住民など約80人が来場。同大文学部の土屋忍教授は昨夏に20日間の実習体験を行ったことを紹介。井之川集落などでは「いつも、どこでも外来の訪問客を〝神様〟として歓待をいただいた。(今度は)こちらが受け入れて感謝、歓迎する場にと計画した」など趣旨を説明。2年目の今夏は同ゼミ生ら15人で実施する。

 上映作品と脚本・監督は▽「おぼらだれん」(日本文学文化学科4年・小幡優芽さん)▽「あかいうみ」(同4年・永濱まどかさん)▽「クロウサギ」(経済学部経営学科3年・小島さやかさん)▽「夏目踊り」(グローバル学部グローバルコミュニケーション学科3年・杉本由夏さん)。いずれも7分~15分間の短編。

 「あかいうみ」は、高校生の時に突然告げられた循環器系の病気との闘い、血糖値管理のための環境の変化、将来への不安、孤独に耐え抜く時間―の中で、少しずつ前向きに歩み始め、未来を見据え始めた自らの体験も表現。地元の女子高生や母親ら出演者たちの自然体の演技がさわやかな感動を誘った。

 「夏目踊り」は、見るもの聞くものすべてが新鮮な中、島民たちの豊かな表情にひかれ、井之川の伝統行事「浜下り」「夏目踊り」「ハマギノ」までを一夜越しで、ドキュメントタッチで追った記録性の高い映像作品だった。

 高岡秀規町長はあいさつで、「素朴な作品の中に感動が。井之川のもてなしの伝統文化が皆さんにとって良い経験になっている。『あかいうみ』は完成度が高い。感受性豊かな人間になることが、将来の職業にもつながると思う」などと評していた。