県立大島病院で大規模災害訓練

トリアージを行い治療優先度別に患者を搬送し、迅速に処置を行った

連携確認 DMATも参加
「自分たちで持ちこたえる底力を」

 奄美市名瀬の県立大島病院(石神純也院長)は20日、同病院内で2018年度大規模災害訓練を行った。奄美大島近海で大地震が発生したことを想定し、院内でのトリアージ、傷病者の治療・処置などを訓練した。今回は同院のDMAT(災害派遣医療チーム)2チーム(10人)が訓練に参加し、連携を確認した。

 同院は奄美群島の災害拠点病院に指定されており、災害時には傷病者の積極的な受け入れ、他医療機関との連携、医療の円滑な提供などが求められている。このため災害時の早急な対応を確認するため毎年、9月9日の「救急の日」にちなみ、9月に同様の訓練を行っている。

 この日は奄美大島近海、深さ10㌔を震源としたマグニチュード7の地震が発生し、奄美市名瀬で震度7が観測されたという想定で訓練を実施。医師・看護師150人のほか、県立奄美高校の生徒や奄美看護福祉専門学校の学生らが模擬患者として訓練に参加した。

 地震発生後、院内の被害を確認。災害対策本部を設置し、石神院長が傷病者受け入れを宣言した。宣言後には続々と訪れる患者を玄関前に敷いたブルーシート上でトリアージを実施。患者に▽緑▽黄色▽赤▽黒のタグをつけ、処置の優先度を確認。症状の重い傷病者から順にストレッチャーや車いすでロビーに運び込んだ。

 院内では処置を行う医師らが手術や入院の必要性をDMATに報告。実際の災害時にはこの後、全国のDMATに情報を共有するために、状況を入力する作業も行うという。

 ガラスで足を切ったという想定で傷病者役として訓練に参加した奄美看護福祉専門学校看護学科2年生の森永愛鯉さん(20)は「自分より重症な人が迅速に運ばれていくのを見て、実際の災害時も安心できると感じた」と話した。

 同院救命救急センターの原純センター長は「これまでの訓練では患者情報も災害対策本部に報告されていたと思うが、院内のDMATがその役割をすることで、本部が食料や燃料などのことに集中できるようになった」と訓練内のDMATの役割を解説。また、「離島なので、1~2日は島外からのDMATが来ない。自分たちで持ちこたえる底力が求められる。今回見つかった課題を次の訓練に向けて克服できれば」と語った。

 石神院長は「トリアージをした研修医に不慣れな点があるので、研修医へのトレーニングが必要。ドクターヘリを使った訓練も今後できれば」と課題を挙げた。