秋めく海山彩る2種の小花

山間部の岩場などを彩るアマミクサアジサイ=西康範さん撮影=

海岸の岩場に咲くイソマツ=西康範さん撮影=

アマミクサアジサイ・イソマツ

 最高気温30度を超す「真夏日」が続くものの、海辺や野山は秋めき、この季節にしか見られない花々が咲く。奄美市名瀬の西康範さんは16日に、海辺の岩場に咲く紅紫色の「イソマツ」の花、17日には奄美大島の山間部を彩る淡紅色の「アマミクサアジサイ」の花を撮影した。海山に咲く2種の小花が秋の情緒を感じさせる。

 山下弘さん著『奄美の絶滅危惧植物』によると、イソマツは奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、沖縄島に分布し、絶滅危惧Ⅱ類に分類されている。波しぶきのかかるサンゴ礁原や岩上に生える低木状の多年草で、この時期に名前の磯松(イソマツ)は葉や茎の形を松に見立てたもの。

 アマミクサアジサイは奄美大島の固有種で絶滅危惧ⅠA類に分類されている。渓流沿いの岩場や湿った崖地に生える多年生草本。高さは30~60㌢あるが、花びらの長さは3㍉ほど。淡紅色か白色の小花を多くつける。奄美大島の広い範囲に自生しているが、道路整備や森林伐採により、減少しつつある。

 アマミクサアジサイが8月、イソマツが9~10月に花期を迎えるとされている。開花が重なるこの時期は海山で花の色彩の違いを観察できそうだ。